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勇者に魔王を倒させろ!第十三話&第十四話

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勇者に魔王を
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トラックに轢かれた訳ではなく、ブラック企業の鬼残業による過労で倒れた訳でもなく、ただただ正月に食べた餅で喉を詰まらせて死んでしまった山川光は、ふとした事から異世界へと転生する事になった。

神力を使い果たした女神からは流行りのチートはもらえなかった。鑑定もアイテムボックスも転移魔法も何ももらえなかった。

このままではせっかくの異世界もただのモブで終わってしまう。光はリターンを得る為にリスクと言う名の命をかける事で異世界を生き抜いて行くのだが・・・

「これ、かなりの無理ゲじゃね?」

前世の知識を総動員して、死なない為に、光は今日も努力を続ける・・・

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第13話 オークを討伐するヒカル

「ミドリさん。俺オークを倒したいんです。」

「ヒカル君落ち着いて。そのセリフなんか聞いた事あるけど、どうしてオークを狩りたいの?」

「そこにオークがいるからです。」

「やっぱり・・・。」

「ミドリさん。違うんです。私もヒカルも昨日Eランクに昇格したんで、より強い魔物を倒して、お金をもっと稼ぎたいんです。」

「ああ。そういえばメイリちゃんとヒカル君は魔法学校への入学資金を貯めるのを目標にしてたわね。」

「「はい。」」

「たしかにオークは討伐報酬もゴブリンなんかよりも高いし、素材の肉や睾丸は人気よ。でもヒカル君とメイリちゃんが毎日持ってくるゴブリンの報酬とそんなに変わらないわよ?」

「えっ!?そうなんですか?」

「うん。ヒカル君とメイリちゃんはゴブリンの討伐証明やウルフの素材にスモールラビットの素材を毎日袋にパンパンにしてもってくるじゃない?」

「「はい。」」

「オークは1体倒せばきっと袋はパンパン。いえ袋に入りきらないわ。だから1体倒したら他の素材なんかは入らないの。もちろんいきなりオークを見つけて倒して持ってくれば時間は半分で済むかもしれないわね。」

(なるほど。俺達はけっこうガッツリ魔物狩って来るもんな。俺達が持てる量ならオーク1体ぐらいならそれほど変わらないのか・・・やっぱりアイテムボックスやマジックバッグがないと厳しいよな。だけど、時間が半分になるなら2往復すれば報酬は2倍だ。それにオークを倒した後に一旦ギルドに戻ってそれからスモールラビットやゴブリンを狩っても普段より報酬は増えるはず。移動が大変だけどお金の事を考えると・・・う~ん。難しいな。)

「ヒカルどうしよっか?」

「とりあえずオークを倒してみてから考えるか。今までより短い時間で同じ報酬が得られるならそれはそれで魅力だしな。」

(時給換算すれば、まちがいなくオークの方がいいもんな。それに格上の魔物を倒した方が絶対経験値もいいだろうし・・・)

「ミドリさん。とりあえず今日はオークの討伐依頼を受けようと思います。」

「わかったわ。ヒカル君とメイリちゃんなら大丈夫だとは思うけど、気を付けてね。オークの解体中も気を抜かない事。オークを解体してるときに魔物が寄ってきて命を落とした冒険者もいるんだからね。命は一つしかないんだから慎重にね。」

(いやいやそこは命を大事にって言ってほしいんですけど・・・)

ヒカルとメイリーンはオーク討伐の依頼を受けて、出現エリアまで歩いていった。もちろんいつもいく森だ。いつもは森に入ってもすぐに森から出られる所をうろうろしていたので、奥まで入って行った。

(魔力を薄くのばして周囲に広げれれば気配探知とかできると思うんだけどな~。なかなかイメージ通りにいかないな。これができれば効率よく狩りもできるようになるんだけど・・・)

ヒカルは毎日毎日魔力操作をサボらずにして、初級魔法の無詠唱魔法まではできるようになったが、まだ気配察知はできなかった。

「ヒカル。あそこにいるのオークじゃない?」

「本当だ。」

(おー。豚の頭してるよ。ラノベ定番のオークだ。ゴブリン&オークはラノベでもエロゲでも定番だからな。やっぱこの世界でもオークとかゴブリンに捕まったら女性は巣に連れていかれて色々されるんだろうか・・・。ラノベ世界とけっこうリンクしてるとは思うけど、俺ってチートもらえなかったし実際はどうだかわからんよな~。)

「どうする?」

「魔法で攻撃でいけるだろ?メイリは剣も得意だろうけど、接近戦は危ないからな。」

「わかった。私がウォーターボールで、ヒカルがウインドアローでいい?」

「そうだな。いつものヤツが慣れてるしいいだろう。一応倒せなかった時の為に逃げる準備はしておこう。この距離なら向かってきても3発ぐらいは連発できるから様子を伺いながらだな。」

「わかったわ。」

ヒカルは図書館で新たに覚えたウインドアローを無詠唱で放った。メイリーンはまだ無詠唱で魔法は使えないので、詠唱してウォーターボールを放つ。オークはこちらに気付いたが、避ける事なく、魔法は直撃した。

「当たったよ。倒した?」

(メイリよ。それは俗にいうフラグだ。きっと倒せてないだろう。)

メイリがフラグを立てたからかどうかはわからないが、ヒカルの予想通り、オークはブモーーーと激しく叫びながらヒカル達に向かって走ってきた。

「メイリ。俺がアースボールをオークの足元に打つ。態勢を崩すと思うから、そこにメイリはライトボールをぶつけてくれ。」

「わかったわ。」

ヒカルは走ってくるオークの足元にピンポイントでアースボールを放つ。大きくなるように意識したヒカルの魔法はオークの足元だけでなく下半身に直撃しオークはその場に倒れ込んだ。

倒れたオークに向かって、メイリーンの放ったライトボールはオークの頭に直撃する。ライトボールを受けたオークはそのまま動かなくなった。

「倒した・・・かな?」

(いやいやメイリさん。それはフラグ・・・でもないか。動かないし倒したっぽいな。1発で倒せないと魔法も考えないとな。思ったけど、両手から2つ魔法を出せたら単純に攻撃力2倍だしできないかな・・・試してみる価値ありだな。それに、狙った所にちゃんと当てれるようにコントロールも磨かないと。避けられたら大変だもんな。魔法を小さくするように意識して狙った箇所に当てる練習も取り入れないと。)

ヒカルとメイリーンは無事にオークを倒した。オークを解体しながら袋に詰めていったが、予想通り全てを持って帰る事は出来なかった。だが、オークと戦う事で魔法に関する課題が見つかったので、

オークをギルドに届けた後は、魔法を同時に放つ練習と、コントロールを磨く練習を行いながらゴブリンを狩っていった。それにより、今までで一番の報酬を受け取る事が出来たのだった。

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第14話 人助けをするヒカル

「メイリも大分身体強化がスムーズになってきたな。」

「ヒカル程じゃないけどね。それに身体強化ってMPがドンドン減っていくからずっと使えないし・・・」

「身体強化が使えるようになると、能力が大幅に伸びるから使える方がいいだろ?MPは毎日魔法使ってたら増えていくから地道に増やしていくしかないぞ。」

「それはわかってるけど・・・」

「メイリは剣も得意なんだからなおさら身体強化があった方が便利だろ?」

「まあ・・・それはそうだけど。」

「俺はどっちかって言うと接近戦は苦手だから、身体強化で防御面を強化してる感じだな。魔法使いって近接に弱いイメージがあるし・・・」

「たしかに模擬戦してもヒカルって接近戦するととたんに弱くなるもんね。」

(いやいやメイリが強いだけだから。剣もできて魔法も得意ってなんなん!?俺、異世界転生者なんだけど俺よりチートじゃん。俺もがんばってるんだよ?ネメシス様がチートくれなかったから必死に全魔法適正君と、成長補正極大君に頼ってがんばってるんだよ。)

エベレスに来てから半年がたち、ヒカルとメイリはEランクの冒険者として、毎日確実に成長していた。毎日の報酬金額の上昇、魔法技術の向上、レベル上昇など、自分自身の成長が目に見えるので、冒険者活動は苦にならずに続ける事ができた。

Dランクにこそ上がっていないが、ギルドからはもうすぐでDランクに上がれると言われていた。

オーク狩りを取りいえる事でライト達の報酬は大きく上昇した。ギルドを往復して報酬を増やしたり、魔法の訓練兼ゴブリン狩りをしたり、又、ヒカルが気配探知ができるようになったのも大きい。魔物を見つける時間を減らせた事で効率よく狩りをする事ができるようになっていた。

メイリーンもヒカルに続き、初級魔法の無詠唱と身体強化を覚えていた。メイリーンはヒカルと違い剣術の適正があるのか、魔法と並行して剣術の腕がメキメキと上がっていた。今では剣でオークを倒す事ができるほどだ。

今日もヒカルが気配探知で魔物の場所を探っていると、ヒカルの気配探知にいつもとは違う感触があった。

「あれ?なんかいつもと違うモノを探知したぞ?」

「何?魔物?」

「いやこの感じは人かな・・・。だけど魔物に囲まれてる?この感じはゴブリンかな?だけど10匹以上いるぞ。」

「襲われてるんじゃないの?助けに行かないと!どっち?」

ヒカルは人が襲われている方を指差す。

「先に行くね。」

メイリーンはヒカルが指さした方にダッシュで駆け出して行った。

(俺の方がメイリよりも敏捷は上なはずなんだけどな~。反射神経って言うのかな・・・メイリの方が早い気がするんだよな~。この辺ってどうなってんだろ?)

ヒカルもメイリの後を追いかけて走る。

気配探知で感じた場所に行くと、大勢のゴブリンが見えた。ゴブリンの背中ばかりで襲われているかどうかがわからなかったので、ヒカルはとりあえず目の前にいるゴブリンを倒す事にした。

ウインドアローでゴブリンの首を狩っていく。あれから左右どちらの手からも魔法が放てるようになったライトは、両手でウインドアローを連発し、目の前のゴブリンを倒していく。

目の前のゴブリンを全て倒すと、ドレスを着た少女と、少女を守っているメイドが2人見えた。その向こうではメイリーンがゴブリンを倒して行っている。

(おっと!?これはあれだ。貴族を助けるイベントだ!まさかこんな感じで発生するとは・・・。どうしよ?これってあれだよね。きっとお姫様とかこの町の領主の娘さんっていうオチだよね。でもなんでこんな森の中にいるんだ??)

ヒカルとメイリーンは、目に見えるゴブリンを全て倒した後、少女達に話しかけた。

「大丈夫ですか?」

「ありがとうございます。もうダメかと思いました。」

「無事ならよかったです。でもなんでこんな所に?貴族様?ですよね?」

「あっ申し遅れました。私スクルド・エベレスと申します。この度は危険な所を助けて頂きありがとうございます。」

(やっぱりだよ。エベレスって名前にあるし・・・ってことはこの子はエベレス辺境伯の娘さん。辺境伯って上位貴族だよな・・・やばい。かかわりたくないぞ・・・)

「あっ。え~っと俺はヒカルで、こっちがメイリーンです。え~っとすいません貴族様にどういった言葉を話せばいいのかよくわからなくて・・・」

(とりあえず敬語で話せばいいのか?この子俺と同じぐらいの年なのにしっかりしてるな・・・)

「私は気にしないので構いませんわ。」

「それは助かります。とりあえず、ゴブリンの処理をしてしまいますね。このままじゃゴブリンの死体に魔物が寄ってきちゃいますから。」

ヒカルとメイリーンは倒したゴブリンを一か所に集め、ヒカルの火魔法で燃やして行った。そんな処理をしていると・・・

「お嬢様~。お嬢様~。」

そんな声とともに、騎士が5人こちらに向かってきた。

「お嬢様!ご無事で何よりです。もう勝手にどこか行って心配したんですよ。」

「ごめんなさい。」

「無事だったからよかったものの、森は魔物が多く危ないので勝手にどこかに行くのは金輪際やめてくださいね。」

「はい・・・」

「それで・・・あの方たちは?」

「私達をゴブリンから助けてくれたんです。私と同じぐらいの年なのにどちらもすごく強くて10体以上いたゴブリンを全部倒しちゃったんです。」

「ほうほう。それはそれは。」

「貴方達がお嬢様を助けてくれたんですね。ありがとうございます。冒険者ですかな?」

「はい。ヒカルと申します。」

「あっメイリーンです。」

(やばい。厄介事のにおいがする。ラノベなら助けたお礼とかあるだろうけど、ここは、さっさと離れた方がよさそうだ。貴族様となんか知り合いになったら自由が無くなるしお嬢様に好意を持たれても困るしな。)

「騎士様達がいるなら大丈夫ですね。俺達は急いでるんでこれで失礼します。メイリ行くぞ。」

「えっ!?ちょっと」

ヒカルはメイリの手を取り、駆け出した。

「あっ。ヒカル殿ちょっと!!」

騎士の声も無視してヒカルはメイリを引っ張ってダッシュで、その場を離れるのだった。

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『異世界転生にチートは必須だよね』の目次

異世界にチートは必須だよねを1話から読む

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