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勇者に魔王を倒させろ!第十一話&第十二話

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勇者に魔王を
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トラックに轢かれた訳ではなく、ブラック企業の鬼残業による過労で倒れた訳でもなく、ただただ正月に食べた餅で喉を詰まらせて死んでしまった山川光は、ふとした事から異世界へと転生する事になった。

神力を使い果たした女神からは流行りのチートはもらえなかった。鑑定もアイテムボックスも転移魔法も何ももらえなかった。

このままではせっかくの異世界もただのモブで終わってしまう。光はリターンを得る為にリスクと言う名の命をかける事で異世界を生き抜いて行くのだが・・・

「これ、かなりの無理ゲじゃね?」

前世の知識を総動員して、死なない為に、光は今日も努力を続ける・・・

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第11話 ゴブリンを討伐するヒカル

「よし。ゴブリンを倒しに行こう!!」

「ん?どうしたの。急に?」

「俺は今日ゴブリンを倒しに行きたい!!」

(異世界に来たならゴブリン討伐は鉄板だろ。それかスライム。もうスモールラビットは飽きた。いくらFランクGランク推奨の弱い魔物だって言っても俺だってMPも増えたし魔法も使える。ゴブリンぐらい行けるっしょ。いやいや行けるっしょ。ゴブリンなんてチュートリアルモンスターだろ!!俺はやれる。いや俺はなれるゴブリンハンター・・・いやゴブリンスレイヤーに。)

「私達にはまだ早いんじゃないの?」

「いやいやメイリさんや。俺達は魔法学校に行くために早くランクを上げないといけないじゃないですか~。その為には強い魔物も倒して行かないといけないと思うんですよ~。それにゴブリンはダンジョンにも出るだろうし、ダンジョン探索の為の練習にもなりますし~。」

「なんかそのしゃべり方きもいよ。ヒカル。」

「ガーン!」

「はいはい。ゴブリン討伐ね。とりあえずミドリさんに聞いてみましょ。ミドリさんがOKだすなら大丈夫だと思うし。」

「さすがメイリ!なら早速行こうぜ。」

ヒカルとメイリーンはギルドに行き、受付に向かった。

「「ミドリさんおはようございます。」」

「ヒカル君。メイリちゃんおはよう。今日はどうしたの?」

「ミドリさん。俺、ゴブリンを倒しに行きたいんです。」

「えっ!?」

「ヒカル。それじゃわからないわよ。ミドリさん実は・・・」

メイリーンは、今朝の話を話した。

「そういう事ね。それでヒカル君?なんでゴブリンを倒したいの?」

「そこにゴブリンがいるからですね!」

「「・・・」」

「え~っと・・・ダメですか?」

「ああっ。大丈夫よ。ヒカル君とメイリちゃんならゴブリン討伐も大丈夫だと思うわ。だけど注意してほしい事があるの?」

「なんですか?」

「ゴブリンは群れを作ってる事が多いわ。だからゴブリンを見つけたからと言っても安心しない事。もしかしたら周りに仲間がいるかもしれない。それを気を付けて。」

(なるほどなるほど。1体であるならば俺達でも大丈夫と言う事か。ヨッシャー!!なら今日はMPが尽きるまでゴブリン狩りするしかないっしょ。はじめは1体。気づけば100体。大量の討伐証明を持って帰ってギルドは大騒ぎ!これしかないっしょ。)

「わかりました。1体を狙って倒していきたいと思います。それで・・・ゴブリンってどこにいるんですか?」

「ああゴブリンは南に行った森の中にうじゃうじゃいるわよ。一応奥に行き過ぎると強い魔物も出るから奥には入らない事。」

「わかりました。あっもしかして森にはゴブリン以外の魔物も居たりしますか?」

「そりゃもちろんいるわよ。コボルトやスライム、グレイウルフなんかもいるわね。」

(お~・・・そりゃ危険だな。魔力感知とか気配感知とかのスキルとか魔法があれば安全なんだろうけど、そんなん持ってないしな・・・。魔力操作を頑張れば覚えれるか?多分薄く周囲に伸ばす感じ・・・だったよな?ソナーみないな感じってラノベでは言ってたっけ・・・。)

「わかりました。無理せずに行こうと思います。」

「ええ。命あってのものですからね。」

(おーー!!そこは命を大事に!ですよって言ってほしかったぜ。)

ゴブリン討伐の常設依頼を受けて、ヒカルとメイリーンは出現する森へと向かった。

「大丈夫かなヒカル?」

「大丈夫だろ?見つけた瞬間魔法ぶっ放せば俺もメイリも1撃だと思うぞ?」

「そんなにうまく行くの?」

「大丈夫だって。先に俺がやるからメイリは見てろよ。それより奥には行くなってミドリさんも言ってたから森の周りをぐるっと回りながらゴブリンがいないか探そうぜ。」

(チュートリアルモンスターなんだから魔法1発でいけるっしょ。火魔法はやっぱり森が燃える可能性があるからここは風魔法がいいか。できれば真っすぐ行ってブッ飛ばす。右ストレートでブッ飛ばしたかったけどそれはちょっと危ないしな。)

「いた。ヒカルあそこにいるのゴブリンじゃない?」

ヒカルはメイリが指さす先を見た。するとそこには1m程の大きさで緑色のヒカルがゲームやラノベアニメでよく見たゴブリンそのままの魔物がいた。

(おおー!!あれぞゴブリンだ!これこれ剣と魔法のファンタジー世界ならこれがないとね。よし風魔法風魔法っと。)

ヒカルはすかさず風魔法のウインドを放った。こちらに気付いていないゴブリンはヒカルの魔法を受けてその場に倒れた。

(風魔法なんだから首をスパッと斬りたかったけど、ウインドって意外にそこまで殺傷力ないんだよな~・・・まあ起き上がってこないから倒せたんだと思うし、今日の所はそれでよしとするか。)

「やった!起き上がってこないし倒したんじゃない?ヒカルの言ったように1発で倒せたね。」

「ああ。一応仲間がいるかもしれないからもう少し様子を見て、何もなかったら近づいて耳を切り落とそうか。」

しばらく待っても、何もなかったので、ヒカル達はゴブリンに近づき討伐証明の左耳を切り落として袋に入れた。

「それで後はこのゴブリンを燃やせばいいんだよね?」

「ああ。」

(素材が使えないからって燃やして処理するのって効率悪いよな~。倒すのに1発と燃やすの1発じゃ20体ぐらいしか倒せないじゃん。メイリが倒しても俺が処理する事を考えたらもう少し少なくなるか・・・。は~ギルドを驚かす作戦・・・いきなり失敗だ。)

その後、ヒカル達はゴブリンを見つけてはヒカルとメイリーンが交互に魔法を放ってゴブリンを倒して行った。ゴブリン以外にもコボルトを見つけたが、それも同様に魔法1発で倒したので、同じように処理した。

終わってみると、安全にゴブリン20体、コボルト1体を倒す事ができたヒカル達だった。

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第12話 Eランク冒険者への昇格

「ヒカル君。メイリちゃんおめでとう。君たち二人は今日からEランクよ。」

いつものように朝からギルドに向かい、受付のミドリの元へ向かうと開口一番そう言われた。

「「やったーーー!!」」

(ようやくEランクかここにきてから1カ月。Eランクへの昇格が早いのか遅いのかはわからないけど、昇格するのは素直にうれしいな。最近は徐々に貯金もできるようになったし、この調子で行けば魔法学校入学のミッションも問題なくクリアできそうだな。ってまだ貯金は銀貨5枚しかないけど・・・)

「それでもまだEランクだからね。Dランクになってはじめて一人前だからまだまだ頑張ってね。」

「「ありがとうございます。」」

ヒカルとメイリの2人はEランクの冒険者証をDランクに変更してもらい、いつものようにゴブリン討伐の常設依頼を受けて森に来ていた。

「ヒカル~。折角Eランクに昇格したんだし今日はお休みでよかったんじゃない?豪華な食事でお祝いしたかったよ。」

「この前もレベルアップのお祝いしたばかりじゃないか。お祝いばっかりしてるとお金がいくらあっても足りないぞ。それに・・・我が家の家計は火の車だ。」

「火の車??」

「ようするにそんなにお金は無いぞって事だ。」

「そりゃまあ・・・そうだけど。」

「まあでもメイリの気持ちもわかるから、今日は早めに帰ってちょっとだけ豪華な食事をしようか?」

「ホント!?やったー!!」

(俺も甘いな。まあ日頃固いパンにシチューのような質素な食事なんだ。おいしい料理を食べたい誘惑には勝てないよな。でもランクも上がった事だし、金策については考えないと。いくらまだ魔法学校入学まで日があるからいけるとは思っても、装備に宿に食事にって、出ていくお金もけっこう多いもんな。その辺は食事の時にメイリと一緒に考えるか。)

そう言って、日課のゴブリン狩りに精を出した。

ヒカルとメイリーンは、エベレスの町に来てからはゴブリン狩りと図書館での勉強の日々を送っていた。1カ月もすればだいぶ知識も豊富になり、森の探索にもなれてきた。もちろんレベルも上がっていた。

ヒカル
レベル8

HP80 MP300
筋力 74
魔力 150
敏捷 74
耐久 74
精神 90

恩恵:異世界言語・全魔法適正・成長補正極大
適正:全属性

メイリーン
レベル8

HP40 MP100
筋力 40
魔力 60
敏捷 30
耐久 32
精神 40

適正:水・光

ヒカルは成長補正極大の力を授かっているので、メイリーンの2倍程のステータスになっていた。メイリーンもヒカルに習い魔力操作の練習と、寝る前のMP消費の訓練をするようになってからはMPが成長していた。

ある程度のゴブリンを狩った後、ヒカルとメイリーンは宿の食堂ではなく、近くの料理屋に向かった。

「やっぱり柔らかいパンは美味しいね。あ~できるならこのパンを毎日食べたいよ。」

「ははは。それは俺も同意見だ。だけどそんな事したらいきなり破産だ。」

「でもEランクになったんだし、これからはもっと稼げるよね?」

「どうだろ?正直FランクからEランクに上がった所で、受けれる依頼はそんなに変わらないんだよな~。Dランクになればダンジョンとかにもいけるから報酬もグンと上がるだろうけど・・・。」

「そうなの?でも魔物討伐だってFランクよりもEランクの方がお金稼げるでしょ?」

「まあな。」

(まあやる事は今までと変わりないか。森に行って魔物を倒す。Eランクならオークなんかが素材も経験値もおいしいと思う。そこを狙うのが一番効率が良いか。)

「でしょ。今食べてるオークとかどうかな?ゴブリンって討伐証明だけで素材が売れないじゃん?オークだったら素材も買い取ってもらえるし一石二鳥だと思うよ?」

(メイリも俺と同意見か。まあ普通に考えたらそうなるよな。後はどれだけ持って帰れるかだな。アイテムボックスとかインベントリとかあったら一気に金の問題もクリアできるんだろうけど、今の俺達なら一体持って帰るだけで袋がパンパンだもんな。)

「そうだな。オークはいいかもしれないな。だけどメイリ?オークってどうやって持って帰るんだ?さすがに袋がパンパンになるだろ?倒す度にギルドを往復するのか?」

「う~ん。荷車でも借りる?」

「だよなー。」

(折角の異世界なんだから普通アイテムボックスぐらいはくれてもいいと思うんだけど・・・だったらネメシス様の言ってた勇者のサポートだってうまくやれると思うのに・・・。は~。うまくやれる方法はわかるのに、それが実践できないのがつらいな。)

「ヒカルが収納魔法を覚えれば解決するのにー。」

「ははっ。さすがに図書館に収納魔法が載ってるのは無かったからな。覚えられるなら覚えたいけど・・・。」

「でもヒカルは無詠唱で魔法が使えるようになったじゃん。同じように収納魔法も魔法書なんてなくても覚える事はできないの?」

ヒカルは毎日の魔力操作の成果で、初級魔法は無詠唱で打てるようになっていた。そう魔力操作で体内の魔力を対外へ出せるようになっていたのだ。

「まあ覚えれたらいいけど、今日の明日じゃまず無理だな。まだ身体強化だって、気配感知だって覚えれてないんだからな。」

(魔力操作を練習して、魔力を対外に出せるようにはなったけど、そこからは更に難しいんだよな・・・。ラノベなら0歳からそれをして、5歳で自由自在に魔力を操れるって感じだから5年は毎日毎日ちまちま魔力を動かさないと無理って事だもんな。)

「そっか・・・」

「まあとりあえず明日からはオークを倒してみようぜ。報酬が良くなればここに来る頻度も増やせるし、魔法学校への入学金も貯めれるだろ。」

「そうだね。私頑張る。」

Eランクに昇格したヒカルとメイリーンは、より高い報酬を求めて明日から、更に強い魔物を倒す事を決めるのだった。

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『異世界転生にチートは必須だよね』の目次

異世界にチートは必須だよねを1話から読む

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