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勇者に魔王を倒させろ!第一話&第二話

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勇者に魔王を
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トラックに轢かれた訳ではなく、ブラック企業の鬼残業による過労で倒れた訳でもなく、ただただ正月に食べた餅で喉を詰まらせて死んでしまった山川光は、ふとした事から異世界へと転生する事になった。

神力を使い果たした女神からは流行りのチートはもらえなかった。鑑定もアイテムボックスも転移魔法も何ももらえなかった。

このままではせっかくの異世界もただのモブで終わってしまう。光はリターンを得る為にリスクと言う名の命をかける事で異世界を生き抜いて行くのだが・・・

「これ、かなりの無理ゲじゃね?」

前世の知識を総動員して、死なない為に、光は今日も努力を続ける・・・

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第1話 異世界転生するヒカル

「あーまたやられちゃったじゃない。どうするのよ。これでもう50回目よ。」

「ネメシス様どうしますか?」

「決まってるじゃない。やり直しよ!」

「ですが・・・ネメシス様の神力は残りわずか。次使えば空になってしまいます。」

「そんな事わかってるわよ。でも今使わないと結局世界は滅ぶわ。なら使うしか方法がないじゃない。」

「だから何度も魔王が誕生する前まで戻しては?と申し上げましたのに。」

「今更言ってもしょうがないでしょ。」

「は〜。わかりました。ネメシス様の今の神力ですと20年程時を戻す事ができます。」

「わかったわ。」

ネメシスは手に持つタブレットを操作してタイムリバースを選択する。

「プルン?タブレットにおススメで、サポートキャラクターっていうのが出たんだけど?」

「それは他の世界の魂を呼び寄せる異世界転生ですね。ですがネメシス様。神力が0では使えませんよ。」

「そんな事ないわ。神力0でも使えるみたいよ。どうせだからこれも使っちゃいましょう。ポチッと。」

『タイムリバースが使用されました。マウンテンリバーの世界の時間を20年戻します。』

『サポートキャラクター神力0が使用されました。対象者を呼び寄せます。』



「ん?ここは・・・どこだ?あれ?俺は確かお正月の特番みながら力うどん食べてたはずなんだけど・・・。」

「あなたがサポートキャラクター?」

「えっ誰⁉︎てかここどこ?なんで俺こんなとこにいるの?」

「あっ⁉︎そういえば餅を食べてて喉に詰まらせたんだ。あれ?それからどうなったんだ?いや待てよ・・・。気づいたら知らない空間。目の前には神様みたいな人・・・これって⁉︎」

「何をブツブツ言ってるの?あなたがサポートキャラクター?」

「サポートキャラクター?何言ってるのかわかりませんが貴方は神様で俺は異世界転生するんではないんですか?」

「プルン!どうなってるの?」

「私に言われてもわからないですよ。調べますからタブレット貸してください。」

プルンはネメシスからタブレットを受け取り、詳細を調べて行く。光は何がなんだかわからないとその様子を眺めていた。

「はいはい。成程〜。そう言う事ですね。だから神力0でも。ふむふむ。ネメシス様!わかりました。」

「なら早く説明して頂戴。」

「はい。まずあの方はネメシス様が使いましたサポートキャラクターによって呼び出された別の世界の魂です。」

「やっぱりね。じゃあ彼が勇者をサポートしてくれるの?」

「それはまだわかりません。」

「なんで?」

「今回ネメシス様が使われたのがサポートキャラクター0だからです。サポートキャラクターには今回のゼロ以外にキワミ、レア、ノーマルの三種類のタイプがございます。サポートキャラクター極は使用する神力の量も多いですがその分英雄クラスの魂を呼び寄せる事ができます。」

「なるほどね。ならゼロはどんな魂を呼ぶんだ?」

「ゼロは完全ランダムです。言ってしまえば適当に連れてきた魂です。なのでどの程度の魂なのか全くわかりません。」

「なんだそりゃ。いやまあ直接聞けばいいか。」

ちなみにネメシスとプルンの会話は光には聞こえていない。

「おい、そこのお前。お前はどれぐらい強いんだ?」

(なんだ?いきなり強さを聞かれたぞ?転生前のアンケートみたいなヤツか?答える内容によって貰えるチートが変わるって感じかな。ここは正直に答えておくのが吉だよな。神様なら心が読めるのもよく聞く話だし、嘘がバレたらチートもらえないかもしれないしな。でも強さ??なんて答えたらいいんだ?)

光は悩んだ挙句、

「はい。中学時代はサッカー部に所属していまして全国大会まで行きました。」

「はっ?サッカー?なんだそれは?そんな事よりお前はどれだけ強いのかを聞いているんだ。ドラゴンは倒せるか?」

(ドラゴン?ゲームとかならそりゃ倒せるけど、そう言う事を聞いてるんじゃないよな・・・なんか雲行きが怪しいぞ。丁寧に本当の事を話して様子を見た方がいいな。)

「申し訳ありません。私の世界にはドラゴンはおりません。」

「ドラゴンがいない・・・なら、ならそうだな。お前は剣と魔法ならどちらが得意だ?」

「え〜っと、魔法は使えませんし、剣も握った事もありません・・・」

「プルン!ダメだ。コイツ激弱だ。これじゃ勇者のサポート所か転生してもすぐに死んじゃうぞ。」



(ダメだ。このままじゃ埒が開かない。こちらから聞くしかないか。)

「神様、私は山川光といいます。神様は私を異世界転生させる為にここに呼んだのでしょうか?」

「そうよ。私はマウンテンリバーを作ったネメシスよ。」

「ネメシス様。私はなんの為に異世界に行くのですか?」

「それは・・・あれよあれ。勇者をサポートして魔王を倒してほしいのよ。」

(つまりはアレか。今流行りの勇者じゃなくてモブに転生ってヤツか。勇者や魔王がいる所で剣や魔法がある世界って事だな。)

「わかりました。異世界で勇者をサポートして魔王を見事倒してきましょう。つきましては私にはどのような力を頂けるのでしょうか?」

「ん?力?」

(ん?どうした?)

「はい。勇者をサポートする為にも力がないと何もできません。例えば鑑定だったりアイテムボックスだったり転移魔法のような力ですが私にはどんな力を頂けるのでしょうか?」

「・・・何もないわ。」

「えっ???」

「何もないわ。」

「えっ?どう言う事でしょうか?」

「だ・か・ら!何も力はあげられないって言ってるでしょ。」

(はっ?何も力くれないって何の冗談だ?)

チートで異世界ヒャッハーをするつもりだった光は、ネメシスからいきなりチートはない!と告げられるのだった。


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第2話 ネメシスと交渉するヒカル

「何も力を与えられないとはどう言う事でしょうか?」

「・・・プルン。説明してあげて。」

「自分で説明すればよろしいのでは?」

「何?」

「いえいえ。わかりました。え〜とヒカルさんでしたね。私はネメシス様に仕えるプルンと申します。僭越ながら私がこの状況を説明させて頂きます。」

プルンの説明を受けて、光は選ばれてここにきたのではなく、偶然ここにきたのだと告げられるのだった。

(まじか〜。いやでもそれならサポートキャラクターってかなりのハズレスキルじゃね?どうやって勇者をサポートしろと?あれか。ここは○○の村です。って村人Aをすればいいのか?そんな事してサポートの意味・・・あれ?)

「ネメシス様。ふと思ったのですが勇者のサポートって必要なんですか?勇者ならサポートなんかしなくても普通に魔王を倒すと思うんですが?」

「無理なのよ。」

「無理?どうしてですか?」

「プルン!」

「はいはい。わかりました。」

光はプルンから今の魔王は歴代最強で49回挑戦したが勝つ事ができず、次が50回目の挑戦になる事。時を戻すのに力を使い果たした為、何もできない事を聞いた。

(まじか〜⁉︎もう詰んでるじゃん。やった事あるゲームの世界とかなら知識無双できるけど、そうじゃないし・・・)

「ネメシス様?本当に力を与える事ができないんですか?一つだけとかも無理なんですか?」

「無理ね。」

「どうやっても?」

「どうやっても。」

「ラッキーさん。ネメシス様は神力が今は0なので一般人の同じようなものです。」

(何か、何かないか。考えろ俺。このままだったら異世界行っても絶望の未来しかないぞ。営業サボってネカフェで読んだラノベの知識を思い出せ!懸賞サイトで1万円のクオカードを当てた運の良さを今こそ発揮しろ!)

光は今まで生きてきた経験の中で何か良い方法がないかひたすら考えた。

そして・・・



「ネメシス様!例えば私が何かを捧げとしてその代わりに力を授けて頂く事は可能でしょうか?」

「どうだったかしら・・・プルン?」

「タブレットにある十戒はどうでしょうか?」

「十戒、十戒、ああこれね。何々〜。なるほど。たしかにこれなら君に力を授けられるわね。」

「本当ですか?」

(やったぞ。希望が見えた!ありがとうラノベの皆さん。ありがとう漫画の皆さん。ありがとうアニメの皆さん。)

「でもこれ相当きついわよ。10個の制限なんてあったら生きづらそう。」

「どういう事ですか?」

「例えばお酒を飲むな。とか、女性に触れるな。とか、毎日教会にお祈りしろ。とか、そう言うのが10個あって守る代わりに力を得るってものよ。」

「・・・」

(それやばすぎだろ!?そんな制限10個もついたら何もできないし、守れる自信もないぞ。いや待て待て制限を自分で決めれるならまだ可能性はあるぞ。影響のないモノを10個選べばいいんだ。よし!ここは10年頑張った営業で学んだ交渉力で。)

「ネメシス様。その制限は自分で設定できるのでしょうか?」

「無理よ。何が選ばれるかは完全ランダムよ。」

(終わった・・・)

「・・・」

(いや、まだ何かあるはずだ。考えろ。考えるんだ俺。頼む!ラノベのみんな。オラに知識を分けてくれ!)

「ちなみに制限を破ったらどうなるのでしょうか?」

「死ぬわ。」

(終わった。)

「ネメシス様。適当な事を言わないで下さい。確かタイプは制限タイプと指令タイプが、罰則も難易度を選べたはずですよ。」

「そっ、そんな事わかってるわよ。え〜っと・・・」

(助かった・・・のか・・・)

「説明が細かいし、プルン。あなたが説明してあげなさい。」

「わかりました。では私が説明させて頂きます。」

光はプルンから十戒について説明を受けた。

十戒は制限タイプと指令タイプの二種類があり、制限タイプは10個の制限を受ける代わりに10個の力を手に入れる事ができる。

指令タイプは10個の指令。つまりミッションだ。ミッションをクリアすると、力を手に入れる事ができる。

罰則に関しては、罰則無し、力を失う、死亡の3段階から選べる。罰則無しの場合は得られる力が少なく、死亡の場合は得られる力が大きい。リスクとリターンのバランスが取れた仕様となっていた。

制限タイプの場合は、完全ランダムで10個の制限が決まる。影響の無いモノもあれば、大きく影響するモノもある。完全に運任せのガチャみたいなものだ。

指令タイプの指令はネメシスが内容を決める。もちろん指令内容は先に公開されてお互い納得の上できまる。

得られる力に関してはある程度は使用者が決める事が出来る。だがリスクとリターンのバランスが取れていないと難しい。罰則無しを選んで鑑定の力が欲しいと言っても無理と言う訳だ。



光は説明を聞いて希望を得た。

(これなら何とかなりそうだ。指令タイプならそうそう死ぬ事はないだろし、どの道勇者が魔王を倒さないと世界は滅びるんだ。ならやるしかない。後はどれだけ有利に進めれるかだな。ハワイに行った時にアロハ1枚15ドルを12ドルにしてもらった俺の交渉力にかけるしかない。)

すーっと息を吐いた光は・・・

「罰則死亡の指令タイプでお願いします。」

とネメシスに告げるのだった。


カクヨム300万PVの『異世界転生にチートは必須だよね』を読む

『異世界転生にチートは必須だよね』の目次

異世界にチートは必須だよねを1話から読む

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