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勇者に魔王を倒させろ!第九話&第十話

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勇者に魔王を
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トラックに轢かれた訳ではなく、ブラック企業の鬼残業による過労で倒れた訳でもなく、ただただ正月に食べた餅で喉を詰まらせて死んでしまった山川光は、ふとした事から異世界へと転生する事になった。

神力を使い果たした女神からは流行りのチートはもらえなかった。鑑定もアイテムボックスも転移魔法も何ももらえなかった。

このままではせっかくの異世界もただのモブで終わってしまう。光はリターンを得る為にリスクと言う名の命をかける事で異世界を生き抜いて行くのだが・・・

「これ、かなりの無理ゲじゃね?」

前世の知識を総動員して、死なない為に、光は今日も努力を続ける・・・

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第9話 ギルドテンプレに緊張するヒカル

イッパンの町を旅立ち、エベレスへと辿りついたヒカルとメイリーン。2人はイッパンの町しか知らないので、エベレスの町の大きさに圧倒されていた。中にはまだ入っていないが目の前に広がる塀の長さだけでも町の広さがわかったからだ。

「ヒカル。ヒカル。あそこに人がいっぱい並んでるよ。あそこから入るのかな?」

「ああそうみたいだな。早速並ぶか。」

「うん。」

(ようやくエベレスの町についたな。ここの図書館に魔法の本があれば助かるんだが・・・。モネえもんは魔法については教えてくれたけど、火と水と土と風以外は教えてくれなかったからな。ここで光魔法についてわかれば俺もメイリも光魔法が使えるようになるんだが・・・)

ヒカルとメイリーンは入口の列に並び、順番が来ると身分証明として冒険者カードを提示して町の中に入った。

「やっぱりすごく大きいね。先が見えないよ。」

(ザ異世界って感じだな。とりあえず定番所だとギルドに行っておススメの宿を聞く感じか。あっもしかしてギルドに行ったら絡まれたりするのか?俺達って10歳だし周りからみたら子供だもんな。でも今の俺はチートもなんも持ってないし絡まれても倒せる実力なんかないぞ。どうしよ・・・)

「と、とりあえずギルドに行っておススメの宿を教えてもらおうか。しばらくはここに滞在する事になるから安くていい宿を見つけておきたい。それにここにはどんな依頼があるのか知りたいしな。」

「そうだね。わかった。ねぇねぇここってダンジョンあるかな?私ダンジョンに行ってみたい。」

「ダンジョンか・・・」

(俺も行ってみたいけど2人じゃちょっと厳しいよな。それに荷物もそんなにもっていけないし・・・は~。ミッションが魔法学校入学までクリアできないのはきついな。魔法学校に入学さえすればアイテムボックスがもらえるから入学後だったら色々行けるのに・・・。アイテムボックスが空間魔法なら、全魔法適正があるから先に覚える事ができる可能性もあるけど、そもそも魔法に関してもまだ全然しらないもんな・・・。やっぱりまずはその辺を調べないと。)

「うん。ダンジョンってすごいお宝があるって聞いたよ。見つけたらお金も貯まって魔法学校にも楽々入学できるよ。」

(メイリさんよ。そんな初心者が行ってすぐに手に入るお宝なんかはすでに他の誰かが見つけてると思うよ。って突っ込みたいけど・・・そんな目をキラキラさせていわれたら何もいえねぇ~。)

「ま、まあその辺もギルドで調べてみようよ。」

ギルドに入ったライトとメイリーンは、中に入って更に驚いた。イッパンの町と比べて冒険者の数がとても多かったからだ。

(俺達ぐらいの子もけっこういるな。よかった・・・。ならいきなり絡まれる事は多分ないか。ちょっとテンプレイベントに期待したけど、テンプレよりも安全第一だ。)

二人は受付に進み、おススメの宿を訪ねた。受付対応してくれたのは、眼鏡をかけたやさしそうなお姉さんだった。名前は髪の色の同じミドリさんだ。優しく丁寧におしえてくれたので、ライトはイッパンの町から来た事や図書館を探している事など知りたい事をドンドン聞いて行った。

(ミドリさん良い人!Fランクの俺にも嫌な顔せず色々教えてくれるなんて。惚れてまうやろ~。次からギルドに来た時はミドリさん一択だな。)

「ヒカル。どんな依頼があるか見て行こうよ。」

「そうだな。」

(ふむふむ。薬草採取はイッパンと同じで10束で銅貨50枚か。スモールラビットも常設依頼であるな。おっ王都までの護衛依頼もあるぞ。何々~Dランク以上の冒険者か・・・。そうだな。ここで依頼をこなして冒険者ランクをDまで上げてから王都に向かうのも良さそうだな。ミッションがクリアできないんだ。魔法学校に入学するまでは、全魔法適正と成長補正極大を最大限に活用しないとな。)

「王都までの護衛依頼があるけどDランクからじゃ、まだまだ先だな。」

「ライト、ダンジョンの依頼もあるよ。鉱石の採掘依頼だって。」

(ダンジョンについてミドリさんに聞くの忘れてたな。まあでもFランクじゃダンジョンに行けるはずないだろうし追々でいいか。)

「メイリ。どんな依頼があるかある程度わかったから宿を抑えに行こうか。折角教えてもらったのに行くのが遅くて空いてませんでした。はショックだからな。」

「そうだね。わかった。」

(あっ!?今気づいたけど宿に泊まるのって初めてだ。お金の事を考えたら1部屋だよな?でもそうなるとメイリと同じ部屋に寝る事に・・・。いやベッドはちゃんと二つあるだろ・・・ベッドが一つしかなくて俺が床で。いやいや私が床で。なら一緒に寝るか?なんて起きるはずないよな。)

そんなフラグを自らたてて、密かにそうなる事を期待したライトだったが、いざ宿に行ってみると、冒険者の利用が元々多いのかベットが二つあるツインの部屋やベッドが三つあるトリプルの部屋が普通に空いていた。

「マジか!?」

「どうしたの?」

「いやなんでもない。」

(せっかくフラグたてたのに・・・。ま、まあ10歳なんだから一緒に寝たからって何か起こる訳じゃないしな。うん。そうだそうだ。まだ俺は子供なんだからそんなエロイベントはいらないなよ。・・・ホントダヨ。)

10日分のお金を払い、宿を確保するライトとメイリーン。孤児院とは違って、安いとはいえ結構なお金を取られたが、初めて泊まるウキウキ気分のメイリーンと、当てが外れて無表情のライトは、案内されるまま部屋へと入っていくのだった。

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第10話 図書館に行くヒカル

宿を確保したヒカルとメイリーンは、まだ夜までは時間があるので、図書館に向かう事にした。

(俺は前世の知識とラノベの知識があるからその辺の科目は大丈夫。算術は俺がメイリに教えれば多分大丈夫だろう。魔法の知識と、国の歴史なんかは図書館で勉強すれば多少はなんとかなるだろう。だけど図書館で勉強したぐらいで本当に魔法学校の試験に合格するのか?受験勉強なんか朝から晩までひたすら毎日勉強しても受からないヤツが大勢いるのに・・・)

シスターモネの話では試験は学科と実技があるが実技をかなり重視しているらしい。学科の点数が低くても実技が良ければ合格は可能なようだ。

(この辺は異世界って感じだな。日本なら赤点が1つでもあったら不合格だもんな。アメリカとか他の国ならもしかしたら長所が良ければ合格。なんてとこもあるのかもしれないけどその辺は俺は全く知らないなぁ。)

図書館に入ると、小さいながらも建物の中は本で溢れていた。

「おーー!!たくさん本があるな。」

「本当!いっぱいある!」

(ラノベとか漫画はないかな・・・。まあ無いよな。はい知ってました。すいません言ってみただけです。だって呼んでた漫画の続きが気になるじゃん。)

ライトは本を読むのは好きだった。もちろん愛読書はラノベだ。

「それじゃ手分けして探そうか?」

「魔法の本よね?」

「ああ。試験勉強にもなるし魔法関連の本は片っ端から読んで見ようと思う。」

(俺には全魔法適正と成長率補正極大がある。読めばきっと成長率補正極大さんが仕事してくれるだろうし、全魔法適正さんのおかげで、どんな魔法の本だろうが、努力すれば使えるようになるんだ。こんなにワクワクする事はない。)

「私は水と光しか適正がないからそれ以外の本は別にいいかな。読んでも意味ないし・・・」

「そんな事ないだろ?知っておくと役立つと思うよ。」

(まあ俺が魔法の本を読んでいる間は、好きな本を読んでくれてもいいんだけど。だってメイリは最悪魔法学校に入学できなくても俺さえ入学できれば死は回避できるし。まあボッチもさみしいから一緒に入学できる方がありがたいと言えばありがたいけど。)

「まあ魔法以外でも、気になる本があったら読んで見たらいいよ。知識はいくらあっても困らないからね。」

(そうそうどんな知識でも身に着けておけば役に立つ時がくる。ラノベの知識が俺をにとって今非常に役立ってるように。俺も魔法の本以外で気になる本はドンドン読むべきだよな。成長補正極大さん!よろしくお願いします!)

ヒカルとメイリーンはそれぞれ気になる本を手に取り、読み始めた。

(メイリもちゃんと光の初級魔法の本見つけてるじゃん。後で俺も見せてもらおうっと。おっとそれよりも俺は治癒魔法の本、治癒魔法の本っと。それにしても治癒魔法の本があってよかった。治癒魔法が使えると冒険の安全度ががくっと上がるもんな。シスターモネには火魔法の適正しかないって言ったから治癒魔法教えてくれなかったもんな。教会なんだし治癒魔法の本はどっかにはあったんだろうけど、隠されてたのか見つけられなかったし・・・)

ヒカルが使える魔法は、現在火魔法、水魔法、土魔法、風魔法、それぞれの初級魔法1つと生活魔法だけである。そして、エベレスの町の図書館には、ヒカルの知らない属性の初級魔法の本が置いてあった。

(初級魔法に関しては広く公開されているみたいだな。まあエベレスはフリーダム連合国との境の町だし、他国への牽制でそういった事に積極的なのかな?どうせなら魔法学校に入学するまでに、中級魔法まで覚えたかったけど、中級魔法からの魔法書はきれいさっぱりなかったもんな。多分立ち入り禁止の2階に置いてあるんだろうな。)

その日、ヒカルは無事に治癒魔法の初級のヒールを。メイリーンは光魔法の初級のライトボールを無事に覚えた。

(よし。問題なくヒールを覚えれたぞ。治癒魔法は異世界の基本だ。あるとないとじゃ全然違うもんな。でもさすが成長補正極大だ。読んだ内容がスラスラ入ってくる。これ選んで正解だな。前世じゃ国家資格の資格試験に5年連続落ちた俺だけど今なら一発合格もできそうだな。)

二人は宿に戻り、今後の事を話した。

「それでこの町にはどれぐらいいるの?」

「ああ。図書館はけっこう充実してた。そして司書さんの話では2階以上には中級魔法の魔法の本など、重要な本があるらしい。見る事ができるのは、Cランク以上の冒険者か、領主から許可をもらった者だけらしい。さすがにCランクになるのは容易じゃないだろうが目標は高い方がいいだろ?」

「Cランクになるまでここにいるの。でも私達まだFランクだよ?」

「ああ。どっちにしても金貨40枚貯めないといけないんだ。ランクを上げれば報酬もあがる。だからしばらくは図書館とギルドの依頼を平行して行っていく。メイリは水魔法と光魔法の初級を全て覚える事と魔法学校の試験勉強。俺は使える魔法を覚える事。そしてランクがDまで上がればダンジョンにもいける。」

「ダンジョン!?」

「ああ。メイリ行きたがってただろ?Dランクになれば行けるみたいだしな。」

「わかった。私頑張る。」

(とりあえず、魔法学校入学までは新たに力も手に入らないし、入学後の為、今は力を付けないと。目標は無詠唱での魔法発動だな。全魔法適正があるから、鑑定魔法とか、転移魔法とかアイテムボックスとかも覚えれたらうれしいけど、さすがに無理だろうしな。難易度は上級以上だと思うし・・・。魔物を倒していればレベルも上がるし、成長補正極大で能力もけっこう上がるだろ。コツコツやっていくしかないな。)

ミッションを達成しないと死んでしまうヒカルは、その達成の為にコツコツと努力する事を決めるのだった。

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『異世界転生にチートは必須だよね』の目次

異世界にチートは必須だよねを1話から読む

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