★小説家になろう様、カクヨム様、アルファポリス様、ノベルアップ+様にて投稿中★
よくある異世界転生。俺こと、美波勇気もテンプレのように毎日毎日の残業残業で倒れてしまった。ここでテンプレならチートを授かるモノだが、気づいたらゲームの世界にいた。そう、昔少しだけ流行ったドラゴンファンタジーのゲームの世界だ。有名ロールプレイングゲームを真似て作られた為、そこまで人気はなかったが俺はこのゲームが好きでけっこうやりこんでいた。勇者だったらハッピーエンドを迎えたのに、俺が転生したのは勇者とともに魔王を討伐する友人のキャラだった。一緒に魔王を倒したならそこそこ良いキャラじゃね?と思うかもしれないが、このキャラ。魔王と戦う直前に好きな人を勇者に取られてそのままヤケクソになって魔王に向かって死んでしまうのだ。。。俺は死にたくない。ゲームの知識を活かして生き残るしかない!!
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第106話 真っ白いドラゴンは・・・
黒い塔を攻略しているユウキ達が地下3階におりると、そこには真っ白いドラゴンがいた。
「やっぱりドラゴンがいたな。さしずめホワイトドラゴン、とかホーリードラゴンってとこか。って事は最上階にいるのがダークドラゴンって事だな。」
ユウキは目の前に見える真っ白いドラゴンを鑑定した。
【名前】ホーリードラゴン(性別:女)
【特徴】ダークドラゴンに捕まり求婚されている。助けてくれる勇者を信じて待つドラゴン娘。
そして、絶句した。
(求婚・・・。勇者を待つ・・・。という事はこのドラゴンが例の封印中のドラゴン娘か・・・。)
すると、追加で鑑定情報が現れた。
※正解で~す。この子ダークドラゴンに捕まっちゃたのよ。結婚したくないって言ってるのに無理やり連れてくるなんて最低よね。という事でこの子助けてあげてね。よくあるでしょ。最上階のボスを倒せば封印が解けて、お姫様が解放されるアレよ。
「なっ!?」
「どうしたの?ユウキ。」
ユウキは鑑定した内容をジュリア達に伝えた。
「あのドラゴンが今度仲間になるドラゴンなのね。」
「マスターよ。早く助けてやろう。むりやり求婚されてるなんてかわいそうじゃないか。」
そういって、ニーチェはホーリードラゴンに近づく。
すると・・・。
ドラゴンに近づこうとすると、見えない壁でもあるのか、一定の場所から先に進めなくなっていた。
「どういう事だ?これ以上前に進めない。」
ニーチェは必至に前に進もうとするが、やはり、見えない壁があるのか前に進めなかった。そして、その壁をドンドン叩くが、壊れそうになかった。
壁をドンドン叩いていると、ホーリードラゴンはユウキ達に気づいて近寄ってきた。
壁一枚隔てて、ユウキ達とホーリードラゴンは対峙する。
「ホーリードラゴン・・・でいいのかな?お前の事はわかってる。ここから出してやるからもう少しだけ待ってろよ。」
ユウキがホーリードラゴンに声を掛けると、ホーリードラゴンは「キュー。」と泣きながら首を上下に振った。
(ドラゴン娘っていうからには人化するのかと思ったけど、しないんだな・・・。封印されてて使えないとかか?それとも元々人型にはならないのか・・・。まあその辺はダークドラゴンを倒してみてからだな。)
ホーリードラゴンはダークドラゴンに捕まっていただけだったので、戦闘にはならなかった。
ユウキ達はホーリードラゴンを助ける為に、地下3階から最上階を目指し黒の塔の登って行った。
(きっとダークドラゴンを倒すと、あの見えない壁みたいなのが消えるんだろうな。だけど、あの見えない壁、俺達が色々やっても消えないってけっこう高度な魔法かなんか使ってるよな?もしかしてダークドラゴンってけっこう強いのか・・・)
ユウキ達はホーリードラゴンの周りにあった見えない壁をどうにか消せないか、剣で切りかかったり、魔法を使ったりしたが、見えない壁を壊す事は出来なかった。
そして、そんな高度な魔法をホーリードラゴンのいる場所に使ったダークドラゴンは今までの敵とは違い、強敵なのかもしれないとユウキ達は気を引き締めた。
「ユウキ?最短距離で最上階に向かうの?多分、ここも最上階は10階だと思うけど。」
「いや。各階を探索して上がっていこう。ダークドラゴンは俺も知らない未知の敵だ。1階ずつ探索しながら攻略することで、レベルも多少は上がるだろう。それに、もしかしたらダークドラゴンに有効なアイテムとかがあるかもしれない。」
「アイテムですか?」
「ああ。例えば、ダークドラゴンも同じように攻撃を遮断する障壁を張っていてそれを解除できるアイテムがどこかに隠されている。とか。」
「ユウキ様?そんな事あるんですか?」
「可能性の話さ。」
(なんせ地下を探索してる時に光の玉なんていうのも出てきたんだ。可能性はあるだろう。もしキーアイテムがあるのに、取らずにボスに挑んだら全滅確定だもんな。ゲームならセーブした所からやりなおせるからいいけど、ここじゃ全滅して、ハイ終わり。だからな。小さな可能性も考えて行動していかないとな。)
ユウキ達は1階から順番に隅々まで探索しながら、先に進む事にした。地下とは違い、棟の内部はかなり広かった。外から見える以上に・・・。
宿泊アイテムの最上級のコテージを持っていたので、ユウキ達は塔の中で寝泊まりしながら先に先にと進んでいく。
だいたい1階部分を全て探索するのに、半日程かかった。道中での魔物は地下攻略時のように光魔法を中心に使っていけば苦戦はしなかった。そして、一つのフロアでだいたい宝箱が7つ程みつかった。
5階までのアイテムは特にキーアイテムというモノはなかった。いわゆる回復アイテムだったり、強化系のアイテム、それに剣や盾といった装備品が主だった。さらに何に使うのかわからないが、金色の小さなメダルがよく出てきた。宝箱の中の半分は小さなメダルだった。
黒い塔に挑む前に回復アイテムは十分にそろえていたので、ユウキ達には特に必要のないアイテムだった。武器も同様で今手持ちで持ってる武器の方が性能がよかったので、袋に全て収納していた。
順調に塔の攻略は進み、7階に上がった時にいつもとは違う事が起こった。
宝箱を見つけたが、その宝箱は宙に浮いていたのだった。
第107話 これがキーアイテム???
黒の塔を順調に攻略していくユウキ達。塔の中が予想以上に広く、探索するのに時間はかかっているが、特に苦戦することなく、魔物は倒せているし、宿泊アイテムのコテージは99個そろえているから準備も万端だった。
そして、7階を探索している時にそれは起こった。塔の中の一つの部屋の中で宝箱を発見した。
そこまでは今までと同じだったが、その宝箱には白い羽が生えており、宙に浮いていたのだ。
「ねぇユウキ?あれって宝箱よね?」
「そうだな。羽が生えてるし、宙に浮いているけど宝箱だな。」
(いかにもキーアイテムが入ってます。って感じの宝箱だな。だけどどうしたらいいんだ?普通に捕まえて開ければいいのか?)
「捕まえればいいんだろ?アタシにまかせてよ。」
ニーチェが空飛ぶ宝箱に近づこうとすると、近づいた分だけ宝箱は離れていった。
「なっ!?あの宝箱、近づくと逃げていくぞ。」
「ニーチェ待て!とりあえず鑑定してみてくれ。むやみに追いかけるとそのまま逃げられて中のアイテムが取れないかもしれない。」
「ん。わかったよ。」
ニーチェは空飛ぶ宝箱を鑑定した。
【名前】空飛ぶ宝箱アルファ
【特徴】重要なアイテムが確定で入ってる宝箱。近づくと逃げる為、入手難易度は高い。小さなメダルが大好きなので、小さなメダルを床に置いて近づいた所を捕まえるのが一般的な宝箱の開け方。
「わかったよ。マスター。小さなメダルを床に置けばあの宝箱は近づいてくるらしい。」
(小さなメダルはここで使うのか。いやでもそれならここまででけっこうなメダルを手に入れたぞ?そんなに使うとは思えないからやっぱりどこぞの王様が集めてる線が濃厚だよな。宝箱に取られないよな?メダルってけっこう集めるの大変だから1枚でも貴重なんだけど・・・)
ユウキはしぶしぶ小さなメダルを袋から出して、床に置いた。
すると・・・
離れていった空飛ぶ宝箱は小さなメダルを見つけてユウキ達がすぐ傍にいるにもかかわらず、小さなメダルに近づいてきた。
空飛ぶ宝箱は小さなメダルを見つけると、羽と思っていたモノが小さなメダルを掴み、両手で前に掲げていた。
「あれって羽じゃなくて手だったのか?で、今は見つけた小さなメダルを目の前で眺めてるって感じなのか?てかどこに目があるんだ?」
「そんな事より、今のうちに宝箱を捕まえましょ。」
ジュリアは小さなメダルを眺める宝箱を捕まえた。すると、開けることなく、宝箱は自動で口を開いた。中身を吐き出した空飛び宝箱は、小さなメダルを握ったまま、空をふらふら飛んで離れていった。
「ああ~。俺の小さなメダルが・・・」
遠ざかる空飛ぶ宝箱に向かって、ユウキが呟いた。
小さなメダルが1枚なくなったことにショックを受けていた。
「いいじゃない。メダルの1枚や2枚ぐらい。何に使うかもわからないのに。それよりもあの宝箱に入ってたモノなんだけど・・・」
(小さなメダルはきっとどこぞの王様が珍しいアイテムと交換してくれるはずだ。いやそれより宝箱の中身は何だったんだ?キーアイテムってなんだ?)
ユウキはジュリアが持つアイテムを確認した。
それは・・・
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・
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白いドラゴンが映る写真だった。
「えっ!?写真?」
「ええ。この写真が入ってたの。これって地下にいたホーリードラゴンよね?」
「ああ。」
(なんだこれ?写真?ダークドラゴンの前に出せば、興味を引いてその隙に攻撃しろって事か?これがキーアイテム?)
ユウキは写真を鑑定した。
【名前】ホーリードラゴンのプロマイド
【特徴】ドラゴン界のアイドル、ホーリードラゴンのプロマイド。入手困難の激レアアイテム。
※よくわかったわね。そうよ。このアイテムをダークドラゴンの前に出せば、ダークドラゴンの気が逸れるわ。その隙に攻撃すればダークドラゴンなんてただの蜥蜴と一緒だわ。でもまあ必ず使わないといけないって訳じゃないから、ユウキがほしいなら持っていてもいいわよ。激レアで非売品だからもう二度と手に入らないわよ。
ユウキは鑑定結果を全員に伝える。
「ホーリードラゴンってドラゴン界のアイドルなんですね?」
「そうみたいだな。というかドラゴン界なんてあるのか?そっちの方が興味あるけど・・・」
「まあこの写真はユウキに渡しておくわ。使うかどうかはユウキが決めて。」
「ああ。」
(ドラゴンの写真なんかもらっても・・・。そもそも性別すらわからないし。たしかに白いドラゴンは綺麗だけど、どっちかっていうと、ドラゴンだからカッコいいって印象なんだよな。それに使っても効果ないなら持っててもしょうがないし・・・。)
「もしかしてその写真があればダークドラゴンも仲間になったりしてね。」
「それはないだろ?写真なんかなくても本人捕まえてるんだから。」
「それもそうね。ホーリードラゴンを何日も待たせるのもかわいそうだし、最上階を目指しましょ。」
入手したキーアイテム。ホーリードラゴンのプロマイドの事は一旦忘れて、ユウキ達は最上階を目指して攻略を再開した。そして、ようやく最上階にたどりついたのだった。
ちなみに、ホーリードラゴンのプロマイド以外のキーアイテムは見つからなかった。空飛ぶ宝箱が見つからなかった事にユウキ以外は残念そうにしていたが、ユウキは小さなメダルが減らなかった事に安堵していた。
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