★小説家になろう様、カクヨム様、アルファポリス様、ノベルアップ+様にて投稿中★
よくある異世界転生。俺こと、美波勇気もテンプレのように毎日毎日の残業残業で倒れてしまった。ここでテンプレならチートを授かるモノだが、気づいたらゲームの世界にいた。そう、昔少しだけ流行ったドラゴンファンタジーのゲームの世界だ。有名ロールプレイングゲームを真似て作られた為、そこまで人気はなかったが俺はこのゲームが好きでけっこうやりこんでいた。勇者だったらハッピーエンドを迎えたのに、俺が転生したのは勇者とともに魔王を討伐する友人のキャラだった。一緒に魔王を倒したならそこそこ良いキャラじゃね?と思うかもしれないが、このキャラ。魔王と戦う直前に好きな人を勇者に取られてそのままヤケクソになって魔王に向かって死んでしまうのだ。。。俺は死にたくない。ゲームの知識を活かして生き残るしかない!!
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
第130話 ゲームでのエンディング
ユウキの知るドラゴンファンタジーでは、魔王バラデミラ戦は文字通り最終戦である。ユウキがアイをカツヤに取られた事で先走って魔王に突撃し死んでしまうので、戦闘はカツヤ、アイ含む4人パーティで行われる。もちろん魔王バラデミラに負ければは事前にセーブした所からのやり直しになる。
無事に魔王バラデミラを倒すとそのままエンディングだ。スタッフロールとともに各町、各城の様子が流れてゲーム終了となる。エンディング後に再開してフリーシナリオを楽しめる。という事もない。
そして今、ユウキの目の前にいる魔王バラデミラは・・・
ユウキの知る魔王バラデミラとは全く見た目が変わっていた。
(はっ?なんだこれ?俺の知ってる魔王と全然違うんだけど・・・。どっちかと言えば3回変身した宇宙の帝王って感じなんだが。闇の宝玉を取り込んで変身したのか?3回も?まじで!?)
「どうしたのユウキ?」ユウキの驚いている表情にジュリアが気づき、ユウキに尋ねた。
「いや・・・なんでもないよ。それより気を付けて魔王は闇の宝玉を使ってる。」
(ジュリア達は元々の魔王を知らないから言ってもわからないか。でも困ったぞ。あきらかに強くなってるよな?カツヤ達の手に負えないよな。カツヤ達は後方に下がらせるしかないか。ビーム一発撃たれて殺されるって訳じゃないだろうけど、気を付けないとカツヤ、アイ、リヨン、アイカが死ぬ。って可能性もあるもんな。)
ユウキはすかさず、鑑定を使い魔王バラデミラを調べた。
【名称】魔王バラデミラ最終形態
【強さ】闇の宝玉を使い、魔王であり、魔神となったバラデミラ。その強さは勇者をも凌ぐ。
※ようやくここまで来たわね。しかもカツヤ達を連れてくるなんてユウキはお人よしね。文字通り最終形態の魔王は強いわ。後の事なんか考えちゃダメよ。ただでさえお荷物、じゃなかった、カツヤ達を守りながら戦わないといけないんだから。
それに・・・見えるでしょ?魔王の後ろに見える黒い渦が。あれが邪神に繋がってるのよ。さっさと魔王を倒して邪神もやっちゃって。
月に変わって、じゃなかった、女神に変わってお仕置きよ!頼んだわよユウキ。
(そうだな。俺がやらないと。カツヤから主人公の座を奪ったんだ。ちゃんと責任とらないとな。)
「ジュリア、リーネ、ニーチェ。俺達で魔王に対抗する。カツヤ、アイ、リヨン、アイカ、フローラの5人は俺達の後ろで待機してくれ。」
「ユウキ!?俺も戦えるぞ。」
「ユウキ?私も支援ぐらいならできるわ。」
「カツヤ。アイ。悪いけどお前達がくると邪魔になる。後ろで俺達を見ていてくれ。」
「リーネ。カツヤ達の守りはまかせた。精霊を呼んで守りを固めてくれ。」
「わかりました。」リーネはジン、ドリュアス、ガーディアンの精霊を呼び出し指示を出す。更に防御系のスキルを連続で使って守りを固めていく。
「よし。ジュリア、ニーチェ俺達で魔王を倒すぞ。」
「「了解。」」
ユウキはそう告げると、自分自身もフェンリルとドラゴン夫婦を召喚し、さらに聖剣エックスカリバーを取り出した。それに合わせてジュリアも神剣スライムソードを取り出す。
ユウキは新たに覚えたデーモンバスター極を連発し、魔王に攻撃を仕掛ける。ジュリアも同様に新たに覚えたデーモンスラッシュで攻撃を仕掛けた。
後方からはニーチェがこれ又新しく覚えた破魔の歌を使いダメージを与える。
魔王はユウキ達を攻撃を受けるも何事もなかったかのように激しい攻撃を仕掛けてきた。
激しい炎や、輝く氷、唸る雷など、多種多様な魔法を使ってきた。守りの要のリーネはカツヤ達を守っている為、ユウキ達はアイテムや魔法を使って自分自身で回復していく。
ユウキ、ジュリア、ニーチェ、フェンリル、ドラゴン夫婦が攻撃する間に、同じ数だけ攻撃してくる魔王バラデミラ。
一切喋る事もなく、グフフ、グフフと不気味な笑いを浮かべながら攻撃の手を緩める事はない。
「ユウキ!どうする?このまま続けるの?」
「ああ。表情には出さないがダメージは与えてるはずだ。手数は信じられないが互角だ。ここで手を緩めたら一気にこっちが不利になる。ここが踏ん張り所だ。」
(といっても後一手足りない。リーネが参加してくれれば、手数でもこっちが有利になるんだが、リーネがあそこを離れるとカツヤ達がヤバイ。我慢比べか・・・)
お互い激しい攻防を繰り広げる中、勝機は不意に訪れた。
後方でリーネに守られているはずのカツヤが勇者の剣を握って魔王に突撃したのだ。
「カツヤ!?」
カツヤの持つ勇者の剣は魔王特攻の効果がある。ゲームとは姿形が違っているとは言え魔王は魔王。カツヤの攻撃は魔王にダメージを与え体勢を崩す事に成功する。
「今だ!!!一気に行くぞ!!」
カツヤが作ったチャンスを無駄にはしないと総攻撃を仕掛けた。リーネやアイ、リヨンにアイカ、フローラも自分達が出せる最高火力で攻撃を仕掛けた。
ゲームならここで、
『魔王バラデミスをやっつけた』
と出るだろう。
だが・・・現実は残酷だった。
魔王を倒す事に成功したが、魔王が倒れている横には、同じようにカツヤが倒れていたのだった。
第131話 ユウキは邪神の元へ、そして・・・
「いやーーー!カツヤ!カツヤ―――」
目の前には動かなくなった魔王とカツヤがいる。魔王の死体はそのまま光となって消えて行った。動かなくなったカツヤはそのままだ。アイが叫びながらカツヤに近づく。
アイが何度もカツヤの事を呼ぶが、カツヤからの返事はない。
「カツヤ・・・」
(クソッ!最後の最後でやってしまった。どうして俺はカツヤを守れなかったんだ。ゲームじゃないんだぞ。世界樹の葉を使ったって生き返らない。どうして・・・どうして・・・)
ユウキの目の前ではカツヤの傍で号泣している。アイとアイカ。そしてそれを見つめるリヨン達。
「ユウキ・・・どうにかしてあげられないの?」
「ジュリア・・・ああ。こればっかりはどうにも・・・。」
「ユウキ様?私のようにヨルダンに行けばカツヤを生き返らせる事ができるのではないですか?」
「いや・・・多分無理だ。そもそもカツヤがヨルダンに現れるかどうかわからない。」
「女神様にお願いしたらなんとかしてくれるんじゃないか?」
(女神様か・・・たしかに女神様に頼めばなんとかしてくれるかもしれない。だけど、女神様はカツヤが死ぬかもしれないから魔王戦には同行させるなって事前に注意してくれていた。情に負けてそれを破ったのは俺だ。つまりカツヤが死んでしまったのは俺のせいだ。)
ユウキが何も手立てがない事に絶望していると、ユウキの持つアイテムが激しく光った。
「ユウキ!?」
ユウキは光ったアイテムを探し手に取った。
「これは・・・」
ユウキが手に取ったアイテムはプラチナドラゴンとの闘いで手に入れたプラチナの雫だった。
(たしかこれは、奇跡を起こすかもしれない???なアイテムだったよな・・・奇跡!!!まさか。)
ユウキは手に取ったプラチナの雫を鑑定した。
【名称】プラチナの雫
【効果】奇跡を起こすかもしれない???なアイテム
※ユウキ。魔王を倒したのは良かったけど、私の忠告を無視するからこんな事になるのよ。まあそこがユウキの良い所でもあるんだけどね。
そうそう。ユウキの手に入れたプラチナの雫はね・・・なんと・・・なんとなんと・・・カツヤを生き返らせる事ができる激レアなアイテムです。
(まじで!!!!よし!!!さすが女神様!!)
※あっ。よかったって思ったでしょ?思ったわよね?でも安心するのはまだ早いわ。
このアイテムはね、正直ユウキが邪神を倒したらご褒美にしようと思ってたアイテムなの。そのご褒美っていうのは・・・ご褒美は・・・ユウキの世界に戻る事よ。
驚いた?驚いたでしょ?しかも、しかもよ。ユウキの今まで上げたステータスはそのまま地球に帰れるのよ。すごくない?ねぇねぇすごくない?
今の力を持ったまま地球に帰ったらあなた英雄よ。チートもビックリ大金持ちも一瞬よ。更に、ジュリア達を一緒に地球に連れて行く事もできるわ。もはやチーレム野郎ね。
どうする?どうする?カツヤを生き返らせるか。それとも邪神を倒して地球に戻るか。選べるのは一つよ。好きな方を選びなさい。
(地球でチーレムか・・・たしかにそれはそれでおもしろい・・・だけど・・・)
『女神様。聞こえてますよね?俺はカツヤを生き返らせたい。始めはゲームの事もあったからイヤなヤツだと思ってたけど、だけど・・・カツヤを使ってた時から俺はカツヤってキャラが好きだった。ユウキに転生してカツヤと付き合うようになって親友だと思ったんだ。だから・・・だから女神様。カツヤを生き返らせてください。』
『ふふっ。わかったわ。ユウキらしいわね。そんなユウキ。私は好きよ。』
『女神様。』
『私に任せておきなさい。ユウキはまだやる事があるでしょ。後の事は任せたわよ。』
『はい。ありがとうございます。女神様。』
ユウキの元からプラチナの雫が離れていき、カツヤの元に吸い込まれていく。倒れて動かなくなったカツヤの口にプラチナの雫が入っていき、カツヤがまばゆい光に包まれた。
光がおさまると・・・
そこには・・・
「あれ?俺どうしたんだ?アイ?アイカ?なんで泣いてるんだ?」
死んだはずのカツヤがとぼけた顔で起き上がったのだった。
「「カツヤ!!よかった。よかったーー。」」
「おいおい。どうしたんだよアイ?アイカ?お~いユウキ。どうなってるんだ?説明してくれ。」
ユウキはカツヤに状況を説明する。
「そうか・・・俺は一度死んだのか・・・。ユウキありがとう。お前のおかげだな。」
「気にするなよ。親友だろ?俺達。」
・
・
・
その後、生き返った喜びと魔王を倒した喜びを全員で分かちあうユウキ達とカツヤ達。そして・・・
「やっぱり行くのか?」
「ああ。俺達は邪神を倒しに行く。いつ戻ってくるかはわからない。」
「でもいいのか?俺が魔王を倒した事にしてしまって?」
「もちろんだ。実際カツヤの一撃がなかったら魔王を倒せなかったかもしれない。それに勇者が魔王を倒したって方がみんなも安心するだろ?」
「わかった。死ぬなよユウキ!」
「ああ。もちろんだ。」
ユウキ達は邪神の元へ、そして・・・カツヤ達は魔王討伐の報告の為に・・・町へと戻るのだった・・・
コメント