第8話 英雄職でレベリング~その頃勇者は~
英雄に転職したユウキはさっそくレベリングを開始した。
場所は昨日と同じようにスライム王国だ。
下級職と同じようにレベルが上がる訳ではないが、レベル20ぐらいまではすぐに上がる。ちなみに勇者は下級職と同じぐらいの経験値でレベルが上がっていく。本当にチート野郎だ。
「とりあえず、今日は木の上で聖なる泉の水作戦で行くか。レベルが20になったら明日からは戦闘しながらレベルを上げて行こう。スキルとか魔法を使って、感じを掴んでおかないとな。」
高速レベリングを開始したユウキは2日間で英雄のレベルを20に上げた。いつもよりも気が抜けていたのか、メタちゃんとの遭遇率が少なかった事もあり思ったよりも時間がかかった。
「そういえば今日であれから2週間か~。カツヤとアイは王都についてるかな。あいつらは二人で1カ月周辺でレベルを上げるんだろうか?それとも最初の村に行ってイベントをこなすんだろうか?まあ俺を待ってると思うから周辺でレベル上げて物足りなくなったら北に向かってるだろうな。レベルはあの周辺だったら10ぐらいまでは上げれるけど、それ以上はきびしいよな。1カ月倒しつづけたら15ぐらいまではいくか??なんせスライムだけでレベル99まで上げた猛者もいるぐらいだしな~」
ユウキがそんな事を考えていた頃
王都ではカツヤとアイが無事に2週間の船旅を終えていた。
「アイようやくついたな。船旅はもうこりごりだよ。全然身体も動かせないし、揺れるしと最悪だったよ。」
「カツヤはそうかもしれないけど、私は魚釣ったり船上で運動してたりしたから楽しかったよ。」
「まあようやく着いたな。それにしても王都ってでかいな。村の何倍あるんだ!?10倍以上だよな・・・」
「たしかにおっきいね。」
「勇者様。まずはここの王と会ってください。旅に必要な装備とかお金をお渡しします。」
サマンサにそう言われ、カツヤとアイは王に会いに王城へ向かった。
「そなたが勇者カツヤか。この度はわざわざロッテルドに来てくれて助かった。そなたの装備品を用意しておる。お金も用意しておるからこれで旅の準備を整えてほしい。まずは北に向かってくれ。北にはポルートという国がある。そこではすでに魔王の影響が出ているらしいのだ。勇者カツヤよ。頼んだぞ。」
ロッテルド王に装備品とお金をもらい、カツヤとアイは今後どうするか話し合っていた。
「アイ。どうする?まだユウキも来てないしそれまではゆっくるするか?」
「でも、王様も言ってたけど、北のポルートだっけ?魔王の影響が出てるって。早く行かなくていいの?」
「そりゃ行ってあげたいけど、まだ準備も全然できてないじゃん。」
「勇者様、ここの王城の部屋は自由に使ってください。まずは装備を整えて、周辺のモンスターでレベル上げしてはどうでしょうか?ユウキさんを迎えに行って戻ってくるまで1カ月程かかります。今後の為にもこのロッテルドで戦力アップされてはどうでしょうか?」
「サマンサ様。ありがとうございます。確かにそうですね。ユウキも待たないといけないし。アイ。そうしようか?」
「そうね。カツヤわかったわ。」
カツヤとアイは装備を整えて、周辺でモンスターを狩りながらレベルを上げる事にした。それから2週間程カツヤとアイは毎日周辺でモンスターと戦ったが二人のレベルは5までしか上がらなかった。
モンスターと戦うが一日中戦う事なく、カツヤは王都の街で遊び惚けていた。勇者の能力は高いのでロッテルド王国周辺の敵ではカツヤの敵にならなかった。それもそうだろう勇者がレベル5になると能力値は平均50程になる。カツヤは能力が上がるとともに調子に乗りだした。
アイはレベル5でも能力値の平均は20程でカツヤとの力の差は広がるばかりである。アイはカツヤがモンスター狩りを早めに切り上げて街に遊びに行くのを心良く思っていなかったが、アイもカツヤの強さ、勇者という称号に好意を持っていたので何も言わなかった。
アイはミーハーな女だった。
ゲームの中では、勇者の称号を持つカツヤを崇拝していてカツヤを好きだった。ただ、カツヤはお調子者でアイ以外の女性に声を掛けられると付いていき、助けたヒロインに言い寄られてデレデレして、様々な女性とハーレムを築くのを見て、アイは近くにいたユウキとくっついたのだ。
ユウキはカツヤとアイの仲を知っていたが、ユウキはアイが好きだったので、アイがカツヤを拒絶するタイミングで二人は付き合ったのだ。ただ、アイはミーハーな女だ。ユウキと付き合いつつも勇者の称号を持つカツヤをずっと気になっていた。
なので、最終戦の魔王戦の前にカツヤから告白された時にユウキを捨てカツヤを選んだのだった。
ここはゲームの世界ではないので、プレイヤーがカツヤを動かしてくれない。レベル上げの自分の意思で行わないといけないのだ。お調子者のカツヤは真面目にレベル上げをしなかった。それが今後どのようになっていくのかカツヤもユウキもアイもこの時はまだ何もしらなかった。
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