第54話 予知夢ってあるのかな???
「お前を倒したらセリーヌは俺のモノだ~!!お前みたいなクソに俺が負けるかよ。俺が世界最強だ。いけ!聖剣エクスカリバー!」
目の前の男から放たれた斬撃がクリフを直撃する。
「くっ。強い。あの剣は相当やっかいだな。攻撃しても全て防御されてしまう。転移で背後にまわってもすぐに反応されてしまう。くそっやっぱり勇者ってチートだろ!!」
「クリフ様頑張って~。お願い!!勝って」
セリーヌはクリフを応援している。
(セリーヌが応援してくれてる。婚約者として負けるわけにはいかない。勇者はクソだ。よりにもよって僕が婚約者だと知っていながら手を出してきた。絶対にゆるすわけにはいかない。)
聖剣エクスカリバーを持つ勇者は隙がなく、ちょっと手を止めれば斬撃を飛ばしてくる。クリフは防戦一方になっていた。
勇者とクリフの戦いは勇者優勢でクリフは徐々に傷が増えていった。そうして何度目かの剣の打ち合いの時に勝負は決まった。クリフの剣が折れたのだ。
「クソっ!!剣が!?」
クリフは剣が折れたので咄嗟に魔法を放とうとしたが、
「あばよ。クソ野郎。あの世で精々後悔しな。セリーヌは俺がおいしく頂いてやるかな!!」
クリフが魔法を放つより早く、勇者の剣がクリフのお腹に突き刺さりお腹を貫く。
「あ~!!!!!」
お腹を刺されたクリフのお腹からは血がドクドクと出ていた。このままでは出血多量で死ぬ勢いだ。
「クリフ様!!!」
セリーヌはクリフの心配をしている。
だが、クリフは血を流し過ぎたのかそのまま倒れた。意識が朦朧とする中で顔を上げると
「勝者勇者〇〇!」
審判が勝者コールを行い、勇者がセリーヌに近づいて行った。
「これでわかっただろ?俺が、俺こそが最強なんだ。これでお前は俺のモノだ!!」
「いやよ。あなたのモノになんかなりませんわ。私の婚約者はクリフ様です。」
「じゃあそいつがいなくなればいいんだな。」
勇者はそう言って再び聖剣エクスカリバーを持って、クリフに近づく。
「あばよ。クソ野郎。あの世で精々後悔しな。セリーヌは俺がもらってやるからおとなしくお前は死んどけ」
勇者は動けなくなったクリフに再度、聖剣エクスカリバーを突き刺した。
「セ・・リー・・・ヌ!!!」
ガバッ!!クリフはベットから落ちた。
「いててっ・・・・夢か~・・・・夢?夢なのか。
なんだあの夢は。なんであんな夢みたんだ?なんか妙にリアルだったな。セリーヌ様を賭けて勇者と決闘するなんて。負けるとかって縁起でもないし・・・しかも最後死んでたぞ。まさか予知夢!!??そんな事ってあるのか??いやここは異世界だ。ない事もないのか??」
今日は高等学校の入学式の日である。クリフは今日の為にチート力を磨き、学園生活を楽しもうと思っていた。そんな矢先に見た夢が勇者に敗れて死ぬ夢だった。夢というのは本来、目が覚めると内容はあまり覚えていないのが普通だろう。ただ、今回の夢は詳細を含めて鮮明に記憶できており、クリフにとって鮮明に覚えている事で、これが予知夢なのでは??と考えていた。
(勇者って創造神様が言ってたダメ勇者だよな~。ダメ勇者って言うぐらいだからあまり強くないって勝手に思い込んでたな~。勇者に聖剣エクスカリバーっていうのもあり得るし定番だよな、セリーヌ様は綺麗だから勇者に目を付けられて決闘するっていうのもありえる話だ。って夢では僕はセリーヌ様の婚約者になってたぞ!?
もしかして本当にあの夢は今後起こるかもしれない未来って事か・・・これはヤバいぞ。ダメ勇者って創造神様から聞いた時に、僕の方が強いかもって思ってたけど、勇者の事が何もわからない状態はまずいな。情報収集しておかないと。あれが予知夢なら回避する為に行動する必要がある。でないと僕が勇者に殺されてします。勇者に殺されるのも嫌だし。セリーヌ様を取られるのも嫌だ。)
【名 前】 クリフ・ボールド
【年 齢】 11歳
【種 族】 人族
【身 分】 辺境伯家次男
【性 別】 男
【属 性】 全属性
【加 護】 創造神の加護・魔法神の加護・剣神の加護・武神の加護・
戦神の加護・愛情神の加護・
【称 号】 転生者・神童・大魔導士・Bランク冒険者
大賢者の再来・Bランクダンジョン攻略者
【レベル】 50
【H P】 60,000
【M P】 160,000
【体 力】 6,000
【筋 力】 6,000
【敏 捷】 6,000
【知 力】 6,000
【魔 力】 50,000
【スキル】 鑑定・アイテムボックス・全魔法適正・隠蔽・全武器適正
無詠唱・身体強化・気配察知・消費MP軽減・戦闘補正S
状態異常無効・転移魔法・創造魔法【NEW!】
全魔法LV10【NEW!】・全武器LV10
(ステータスを見ても僕ってかなりのチートだと思ってたけど、よくよく考えたら勇者の称号ってこの世界で一人しかいないんだよな。勇者もチートを持ってても不思議じゃないか。僕はもっと努力しないとやばいな。努力してここまできたんだ。この能力があれば大丈夫だと思ってたけど、まだまだダメだ。もっと努力しよう)
予知夢の可能性があるのでクリフは今まで以上の努力をする事を心に決め、勇者を警戒する事にした。
第55話 入学式に家族が勢ぞろいした!?
夢の事を考えながら、今日の入学式の準備をしているとドアをノックする音が聞こえた。
「クリフ君。お客さんよ。」
クリフはドアを開けた。すると
「クリフ久しぶりだな。入学おめでとう」
そこには父のアレクと母のサラが居た。
「父さん、母さん。どうしてここに?」
クリフは高等学校への入学を期に父上から父さん、母上から母さんへ呼び方を変えていた。
「息子の入学式に親が出るのは当然だろ!!と言いたいところだが丁度、魔の森の件で陛下に呼ばれてな。転移魔方陣を使う許可が出たから領都からここまで転移魔方陣を使ってきたってわけだ。多分陛下が気を使ってくれたんだと思うけど、入学式の日に合わせてくれたからクリフの入学式に参加しにきたって訳だ。宿とかはアーサーから聞いてたから突然きて驚かせてやろうと思ってな」
この異世界には転移魔方陣があり、王都と各領都を繋いでいる。但し簡単には使用できない。王族の許可があった場合のみ使用が可能となる。考えてみてほしい。誰でも簡単に使えてしまうと、便利な反面、転移魔方陣を使って敵がいきなり攻めてくることも考えられる。いざという時には移動時間が大幅に短縮できるので、転移魔方陣は王族が管理している。
例えば、地方で魔物が大発生するスタンピードが発生して、王都から応援に駆け付ける時に使ったりと普段は緊急時しか使用していない。
(転移魔方陣を使ってくるなんて魔の森の魔物が増えてきたり、魔族が動き出したのかな?でも素直に来てくれたのはうれしいな。)
「父さん、母さん、ありがとう」
「クリフちゃん!準備はできてるの??できてるなら一緒に学園に行きましょう」
サラはそういいながら、部屋に入ってきてクリフの身だしなみを整え出した。
「母さん。自分でできるよ。準備もできてるからいつでも出れるよ」
アレクとサラはクリフとともに学園に向かった。
「父さん。転移魔方陣を使う程って事は魔の森に何かあったの??」
「いやそういう訳じゃないんだ。緊急で何かあったって訳じゃないから、多分魔の森の件は建前だな。今回はどっちかっていうとクリフ。お前の事だと思う。けっこう色々してるのは聞いてるぞ。」
「そうよ。首席を取った事とかBランクのダンジョンを攻略した事とか色々ね。私達も冒険者をしていた時にダンジョンを攻略した事はあるけれど、さすがに11歳でダンジョンは攻略できなかったわ。無事だから結果よかったけど、クリフちゃんはまだ11歳なんだから危ない事はしちゃだめよ。」
(なるほど。陛下も僕の事が気になってるって事か。たしかに頻繁に僕が陛下に呼ばれるのっておかしいよな。親と同伴なら簡単に話も聞けるか。辺境伯だし、父さんと母さんは陛下の友人だし。)
「はははっ。まあ危ない事はしてないから大丈夫だよ。」
「お前は昔から一人になると色々してたから、強いのは知ってたがあまりやりすぎるなよ。俺も人の事を言える訳じゃないが出る杭は打たれるからな。」
「父さんも子供の頃は色々やらかしてたんですか?」
「まあな。けっこうやんちゃだったな。今は良い思い出だ。冒険者としてドラゴンを倒したりダンジョンを攻略したり、自分で言うのもなんだが、冒険者としてけっこう有名だったんだ。それで辺境伯になったんだが、その時は他の貴族が色々言ってきてうっとおしかったな。」
アレク・ボールドは子爵家の3男として生まれた。高等学校在籍中に出会ったマテウス、マリヤ、サラとともに冒険者パーティを結成していた。学校を卒業してからも冒険者をつづけたアレクは王都でかなり有名になっていた。そんな時に当時のボールド領で反乱が起きた。
アレクのパーティはその時にかなりの貢献をした。その功績でアレクはボールド辺境伯になったのだが、その時の他の貴族の反発はとても大きかった。ただの子爵家の子供で爵位もなかった者がいきなり辺境伯だ。それも当然だろう。
ただ、マテウスとパーティを組んでおり、王家の信頼度が高かったのと西の辺境伯は魔の森が近くにある為、実力がないと務まらない中、アレクは十分な実力があった。という点で大抜擢されていた。
(たしか、父さんは辺境伯になるときに周りの貴族からめっちゃ反発されたって言ってたな。でも領都の人達は今のボールド領に不満はないように思うしけっこう内政うまくやってるよな。って僕って自分の訓練ばっかりで親の事とかあまり知らないな・・・)
「そうなんですね。まあ気を付ける事を意識していこうとは思います。」
「お前、あまり気を付ける気がないだろ??」
「ははは。」
「だからまあ入学式が終わったら、俺たちと王城に一緒に来てくれ。陛下に謁見だからな。」
「はい。わかりました。」
「クリフちゃん。入学式で首席のスピーチがあるんでしょ。私はそっちの方が楽しみよ。」
(そうなんだよ。首席のスピーチって前世の学校でも定番だったけど、やった事ないからちょっと緊張してるんだよな~。ああいうのって王族とかがするんじゃないの?今回なら普通セリーヌ様がするだろ?)
「ええ。一応考えてきてるので頑張ります。」
クリフはあまり自信がなかったので、小さめに答えた。
3人で話ながら歩くと学校にはすぐ着いた。学校では制服を来た学生やその親達で溢れていた。門の所では見た事ある2人が待っていた。アーサーとミリアである。
久々にボールド家が一同勢ぞろいしたのである。
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