第39話 学科試験は超簡単。これ絶対満点だ!!
貴族に絡まれている黒髪の女性を助けたクリフ。クリフは前世の時から理不尽な事は嫌いだったので、テンプレうんぬんではなく、理不尽を撃退できた事に満足していた。
「あの。さっきは助けてくれてありがとうございます。でもよかったんですか?きっとあの人に目をつけられましたよ。」
女性は心配そうに言ってきた。
「大丈夫だよ。あんな理不尽な事で絡まれるのとかありえないでしょ。次きても逆に叩きのめしちゃうよ。それよりも無事でよかった。ケガはないですか??」
「はい。大丈夫です。はじめにちょっとぶつかっただけなんで」
と、黒髪の女性と話していると、
「アリス。大丈夫だった~。ごめんね。助けにいけなくて・・・あいつはの家には家もあまり逆らえないから・・」
と、別の女性が近づいてきた。
「うん。気にしないでシェリー。この人が助けてくれたから全然大丈夫だったよ。」
「うん。見てたから。アリスを助けてくれてありがとう。あいつ本当最低ね。伯爵家だからって何をしても言い訳ないのに、あなたのおかげでスカッとしたわ。」
(この人は貴族なのかな・・・鑑定・・・子爵家令嬢か。なるほど。伯爵には頭が上がらないって感じかな。たしか子爵家までは下級貴族で伯爵から上は上級貴族?だったっけ?)
「人として当然の事をしただけだよ。権力とか嫌いだしね。」
「あなたすごいわね。私はシェリー。シェリー・コールマンよ。」
「私はアリスです。」
「シェリーさんにアリスさんですね。僕はクリフって言います。試験に合格したら同級生になるんだし、これからよろしくお願いします。」
「そうね。お互い合格できたら仲良くしましょ。」
「はい。是非仲良くしてください。」
と二人の好感度はまずまずだった。
(よし。いきなり友達が二人できたぞ。これは好発進だな。)
「ほらっアリスいきましょ。試験に遅れちゃうわ。」
「シェリー待ってよ。」
2人は試験に向かおうとして
「クリフ君、さっきはありがとう。入学したらよろしくね」
と再度御礼を言ってきた。
「全然かまわないよ。」
と言葉を交わして、試験の時間が迫ってきたので僕も受付をしに駆け足で試験会場に向かって行った。
会場で受付をし、学科試験をする会場に足を運ぶと、すでに多くの人がテーブルに座って最後の試験勉強をしていた。
(懐かしいなこの光景。学校の入試とかを思い出すよ。最後の詰め込みってやつだな)
空いてる席を探して、キョロキョロしながら周りの受験者を見ていく。そのまま空いてる席に腰かけて周りの様子を伺ってると
「試験勉強はしなくていいのかい?みんな参考書片手に必死に勉強してるぜ?」
と後ろから声がかかったから振り向いてみた。すると赤髪を短く刈り上げたイケメンがいた。
「そうだね。ここで詰め込んでもあまり意味ないし。試験勉強はちゃんとやってきたからね。」
「余裕だな。それと、さっきは見てたぜ。ブランの野郎もざまぁって感じだな。あいつは権力振りかざすから周りからも嫌われてんだ。見てて、スカッとしたぜ。俺はマッシュ・ステインっていうんだ。よろしくな」
(なんか気さくなヤツだな。でも話しかけてくれるのはありがたい)
「僕はクリフだよ。よろしく。ステインって事はマッシュは貴族なの?」
「ああブランと同じ伯爵だな。でも気にするな。ここでは身分の差は関係ないからな。」
「そうなんだね。わかったマッシュ。こちらこそよろしくだ。」
試験の前に伯爵家のマッシュと仲良くなった。
「マッシュは試験大丈夫なのか?周りみたいに勉強しないで?」
「ああ、勉強は得意じゃないが、今更あがいても仕方ないしな。」
(顔だけじゃなくて、考え方もイケメンだ。物語の主人公みたいなヤツだな。)
マッシュと世間話をしながら試験の開始を待っていると試験管らしき人が現れて試験が始まった。
(よし。まずは学科試験だな。どんな感じかな~)
クリフは試験問題を見渡し、そして絶句した・・・
それは試験レベルの低さに・・・
(足し算に引き算、掛け算の四則演算に、魔法の種類を書け?あとは漢字の読み書き??なんだこれ?簡単すぎないか・・・これじゃ間違える方が難しいと思うけど)
異世界での算術は四則演算や読み書きが基本だった。なぜならこの世界は計算ができないモノ。読み書きができないモノがけっこういる。つまり前世でいう国語や算数のレベルがあまり高くないのだ。
前世で大学まで出ているクリフにとってこの問題は簡単すぎた。
時間を大幅に余して問題を解いたクリフは問題を何度も見直しながら修正をするフリをしたりして時間をつぶした。
(これ間違いなく満点だな。てか満点以外ありえないだろ。この学科試験ならみんな高得点だろうし、満点も何人もいるだろう。逆にこの内容なら満点が合格ラインって事もありうるしな)
この世界でこの問題が、まちがいなく入試レベルであり、毎年学科試験で2割は落ちていた。ちなみに合格ラインは30点以上で、満点を取る者は毎年2人か3人しかいない。その事をクリフは後になって知るのだが、この時のクリフが知る事はなかった。
第40話 Sクラスになれるのは上位20人らしい
レベルが低かった学科試験を自己採点満点で終えたクリフ。午後の試験はお昼を挟んで午後からなので、どうしようかと思って席をたつと、
「クリフ。食堂で一緒にお昼食べないか?。入試試験中はここの食堂開放してるらしいから利用する人が結構いるらしいんだ。俺も食堂の味が気になるからどうだ?」
イケメンマッシュがお昼を誘ってくれた。お昼をどうしようか悩んでいたクリフには神の声に聞こえた。
(やった。これでボッチで飯がなくなった。さすがにボッチで飯はさみしかったんだよ。朝からお昼どうしようか悩んでたけど、イケメンマッシュのお陰で助かったな。)
「ああ。是非頼むよ。僕も食堂の味は気になるし。食堂がどこにあるかマッシュは知ってるの?」
「まかせろ。あっちだ。」
マッシュに案内されて一緒に食堂に入ったクリフは空いてる席に座ってマッシュとお昼を取っていた。
「それで、クリフは試験どうだったんだ?」
「う~ん。簡単だったよ。全部解けたしね。マッシュはどうだったの?」
自己採点満点である事は言わなかった。
「クリフすげ~な。俺は7割は解けたからまあ大丈夫だと思う。午後の実技の方が得意だしな。」
ちなみに、ここの高等学校では様々な事を教えているので、試験も何パターンかある。クリフやマッシュが受けた、午後の実技を受ける人用の学科試験と実技を受けない人用の学科試験だ。
実技を受けない人とは貴族当主を目指す人や、貴族令嬢、商人を目指す人のように、魔法や武術を使わない人たちの事である。その人達は学科試験が全てなので、学科試験のレベルが高くなっている。この人達は午後も別の学科試験になっている。
クリフやマッシュは午後に実技試験を受ける。実技試験を受けるモノは実技も入学の合格基準になる為、学科試験のレベルは低くなっていた。貴族の中で魔法の適正を持つものや腕に覚えがある人、学科が不得意な人はこちらを選択している。
マッシュと談笑しながら食事をとっていると
「マッシュ。試験どうだった?」
「マッシュ様。試験どうでしたか?」
とマッシュの周りに人が集まってきた。
(さすがイケメン。リア充だな。イケメンの周りには人が集まるって本当だな。)
クリフはマッシュとマッシュに集まる人の会話を食事をしながら聞きふけっていた。
「ああ。まあ学科は大丈夫だと思うぜ。得意ではないけど、苦手ってわけでもないからな。お前らはどうだったんだ?」
「僕はバッチリできたよ。」
「私も多分大丈夫よ。」
「マッシュ。そっちの人は誰だい?初めて見るけど?」
「ああ。こいつはクリフって言って、学科の試験会場で知り合ったんだ。試験前にあのブランを言い負かしてたから興味があってな。」
マッシュが紹介してくれたので僕は二人に自己紹介をした。
「はじめまして。クリフと言います。さっきマッシュと知り合って今一緒にいるけど、元々知り合いがいないので、仲良くしてくれると嬉しいです。」
「僕はマロンだよ。ブランを言い負かすってクリフはすごいんだね。あいつ貴族で見た目はぽっちゃりだけど、魔法の腕は良いから気を付けてね。」
「私はリーネよ。ブランってあの試験前に広場で騒いでたヤツでしょ。じゃああなたがアリスを助けてくれたのね。さっきシェリーから聞いたわ。あいつって権力振りかざすから嫌いなのよね。」
そう言って更に二人の友達をゲットしたクリフであった。
「午後も実技頑張ってみんな同じクラスになれたらいいね。」
とマロンがクラスの事について話始めたので僕はクラスについて聞いてみた。
「クラスって成績順で決まるの?」
「ああ。クリフは知らないのか。上からSクラス、Aクラスって感じで一番下がEクラスだ。俺はもちろんSクラスを目指している。Sクラスは成績上位から20人ってのがきまりだな。」
(なるほど。成績順にクラスが別れるのか。どうしよっかな~。Sクラスじゃきっと目立ってしまうよな。でもAクラスじゃぱっとしないし、Sクラスを目指すけど目立たずに済む方法ってないかな~・・・)
「マッシュはSクラスはまちがいないでしょ。あとはセリーヌ王女様を筆頭に火の魔女のフレイや北の剣聖ルインとか賢者ソロンなんかもいるしね。」
「早々、あとは公爵家のジャンヌ様と侯爵家のソフィア様もSクラス候補よね。」
(セリーヌ様以外にも有名どころの名前があがってるけど、なんかかっこいい二つ名がついてるな~。)
「ああこの黄金世代は有名どころが多いからな~。あとはクリフだな。だろ?神童クリフ?」
「えっ!?」
「ちがったか?てっきりお前が辺境伯の神童クリフだと思ったんだが?」
(あれ?僕って名前知られてるの?)
「なんで知ってるの?」
「なんとなくだな。」
「えっじゃあクリフって貴族なの?」
「まあね。でも次男だしそんなに気にしないでよ。田舎だったし、神童って言われても自分でもピンときてないんだから。」
(あまり注目されるのも困るからな。適当に流しておかないと。でも有名な人が多いからちょっとはがんばらないとSクラスに入れないかもな。セリーヌ様とは同じクラスになりたいし、午後はいっちょやりますか)
お昼の時間が終わり、午後の実技試験へと移っていくのであった。
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