学園寮を出たクリフは教会へ向かっていた。
「やっぱり王都は広いな~。場所を聞いてないと迷子になるよ。」
王都は辺境伯領都ボールドの3倍以上の広さだ。人数も5倍程いる。さすが王国の中心である。
アーサー兄からきいた場所を目指して歩く事10分。ようやく教会についた。
豪華な門、大きな建物は圧巻だ。
「やっぱり教会も王都はでかいな~。本場の聖国の教会はもっとすごいんだろうか。」
前世で美術にはあまり興味がなかったクリフだが、実際に身近で見る教会には感動しているようだ。
「よし。さっそく神様にお祈りしよう。」
神父やシスターが多数いる教会に足を踏み入れて、クリフは受付をした。
「すいません。神様にお祈りをしたいのですが、どうすれば良いでしょうか?」
とどうしたらよいかわからなかったので、受付をしているシスターに声を掛けた。
「はい。お祈りですね。ではここに寄付をしていただいて、奥の神殿に進んで下さい。奥の大神殿で皆がそれぞれ神様にお祈りをしていますので同じようにして下されば大丈夫ですよ。」
シスターは丁寧に教えてくれたので僕は寄付金を多めに包んで先に進んだ。
(あまりお金は持ってないけど、今から冒険者登録で稼げばいいし、ここは多めに包んで印象を良くしておかないとな。)
クリフはまだ自分でお金を稼いだ事がない。親からのこづかいや、魔物退治をした時に、家庭教師の先生がギルドに売った素材の一部をお金でもらったぐらいだ。あまりお金を使う事がなかったクリフは、あまり生活に困った事がないので、稼ぐ事を積極的にはしていなかった。
大神殿に足を踏み入れると、大きな創造神様の像が中心にあり、横に女性の像、逆側に男性の像がそれぞれ祭られていた。
(創造神様と魔法神様と剣神様だな。メインの神様って事かな。まあ考えても仕方ないか。)
僕は神様に向かって手を合わせてお祈りをした。
すると
「よく来た。クリフ君。王都に来たらきっと教会にきてくれると思っていたぞ」
と予想通り創造神様に会えた。
「創造神様お久しぶりです。今日からしばらく王都です。試験に合格すれば高等学校に通うようになりますので、寮生活にはなりますが、親元を離れて、自立できるようになりましたので、挨拶しとこうと思いまして。」
「そうか。そうか。こっちもクリフ君に色々話しておかないといけない事があるからちょうどよかったわい。もしなかなか来なかったらこっちから出向く予定じゃったからな。」
「創造神様がここに降りてくる事もあるんですか?」
僕は創造神様の言葉に興味を惹かれ疑問に思った事を聞いてみた。
「直接いくわけではない。聖女が使う神託みたいなもんじゃ。クリフ君に話があるから教会に来てくれ。とメッセージを送るような感じじゃの」
(なるほど。やはり聖女には神託のスキルがあるのか。テンプレだな)
僕は異世界テンプレを再確認して話をつづけた。
「そうなんですね。それより、呼び出す程の事って何かあったんですか」
「まあゆっくり話すからそこの椅子に掛けてくれ。」
創造神様に言われテーブルについている椅子に腰かけた。目の前には創造神様、その横に魔法神様、剣神様がいる、他にも3人神様が座っているが皆優しそうな顔をしているので、あまり緊張はしなかった。
「クリフ君にこの世界の事を少し話しておこうと思っての。この世界に魔王がいる事は知っておるか。」
「はい。帝国に勇者の称号を持った人が現れたから、それは魔王が誕生した為だと聞いています。」
「そうじゃ。魔王は邪神の眷属での。邪神はこの世界を破滅させようとしておるのじゃが、神は世界での直接暴れる事ができん。なので、魔王を誕生させてこの世界を破滅させてようとしておるのじゃ。」
(なるほど。よくあるゲームの設定だな。魔王を倒すために勇者がいて、聖剣とか仲間を集めて勇者が魔王を討つ。と。テンプレだな~。でもそれって勇者の話だよな。僕って何か関係あるのかな)と思っていると
「実は関係があるのじゃ」
どうやら神様は心が読めるらしい・・・
「実は勇者の称号は儂が与えたんじゃが、どうやら勇者の称号に胡坐をかいているみたいでの。このままでは魔王を倒すことはできないではと危惧しておるのじゃ。」
「どういう事でしょうか」
「クリフ君も勇者の噂を聞いたことがないかの~。我儘で強いからと言って鍛錬もせず、欲しいモノは力づくで奪い取る。たしかに勇者のステータスは高い。じゃが、努力しなければ本当に強いモノには勝てん。帝国の皇帝も魔王を討ってもらわないといけないから強く出れず、最近は困っているみたいじゃ」
(なるほど。よくあるダメダメ勇者ってわけね。でもそれで僕にどうしろ?と。まさか代わりに魔王を倒してくれ。って話なのか・・・たしかにテンプレだとは思うけど僕は勇者じゃないぞ)
「ほっほっほ。クリフ君に代わりに魔王を倒してくれという訳ではないんじゃ。クリフ君は自由にこの世界を楽しんでくれればよい。ただ、勇者の状況を知っておいてほしかったのと、今のまま努力を続ければクリフ君でも魔王を倒す事ができる。もしこの世界が破滅しそうになったら助けてくれれば良い。とそんなお願いじゃ」
(なるほど。まあこの世界というか王国が危なくなったら僕も力を貸すとは思う。僕だって暗い世界で過ごしたくないし。明るい世界でチート&ハーレムが僕の目標だからな~)
「そうじゃろ。そうじゃろ。ただ、その内クリフ君も勇者と出会う事があると思うから十分気を付けるのじゃぞ。称号を与えた儂が言うのもなんじゃが、あやつはクソじゃ。この世界に直接干渉できたらすぐにでも交代させたいくらいじゃ。」
(そんなになのか。なぜそんな人に勇者の称号を与えたんだ?創造神様は・・・)
「称号を得るまでは良い少年だと思っておったんじゃ。こればっかりは儂も読めなんだ。儂のミスじゃ。」
と創造神様は素直に自分の非を認めた。
「わかりました。創造神様にとても感謝していますので、できる限り努力はします。」
「ありがとうクリフ君」
創造神様に御礼を言われ、長かった創造神達との話は終わった。
(せっかく創造神様以外に5人も神様がいたのに一言も話せなかった・・・)
創造神様との会話の内容が濃かったので、他の神様と話す余裕がなかったクリフだった。
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