馬車に乗り込んだはいいがどこに座ってよいかわからずオロオロしていると王様が目の前に座り、セリーヌ様が僕の手をとり、王様の前に座らせてくれた。セリーヌ様は僕の隣に座りこんだ。
「改めて先ほどはありがとう。おかげで助かったよ」
「いえ。陛下の馬車とは知らなかったですが、助けられてよかったです。」
「クリフ様は火魔法に回復魔法も使ってましたが魔法使いなんですか?」
セリーヌ様が色々質問してきたので、僕は
「魔法も使えますが、剣も使います。魔法剣士ってところですかね。」
魔法剣士って言いたかったので言ってみた。
(異世界と言えば剣と魔法を使う魔法剣士がテンプレだよね)
「うぬ。アレンの剣の才能とミラの魔法の才能を受け継いだというわけじゃな」
「陛下は父と母をよく知ってるんですか」
僕は知らない体で陛下に質問してみた。
「良く知ってるぞ。なんせ、儂とマリアとアレンとミラで冒険者パーティを組んでいたからな。あの頃は儂とアレンが前衛でマリアとミラが後衛のパーティで色々な魔物を討伐したりダンジョンを踏破したりしたもんじゃ。」
「お父様とお母様と冒険者パーティを組んでいたんですか?」
セリーヌは知らなかったみたいで話にぐいぐい絡んできた。
(王妃様はマリアっていうのか。後衛って事は魔法使いか回復系、弓使いって可能性もあるか。)
3時間程馬車に揺られてるとお尻が痛くなってきた。
(これが馬車の試練か~。テンプレなら、衝撃を吸収するモノを作って馬車を改良したりするんだが、サスペンションだっけ??知識がない僕にはできないな)
マヨネーズやせっけんの作り方さえ知らない僕は内政チートはそうそうにあきらめた。
(異世界に転生できるならマヨネーズの作り方とか石鹸の作り方なんか覚えておけばよかった。でも誰が異世界に行けるから覚えようって思うんだ。って話だよな)
そんな事を考えていると屋敷に近づいてきたので、
「陛下。先に降りて父上に伝えてきます。」と言ってダッシュで屋敷に入っていった。
「父上、父上」と父上を探しながら屋敷を走っていると書斎に父上はいた。
「クリフ、どうしたんだ。そんなに慌てて」
「父上、陛下がこの屋敷に来られました。」
僕はうまく伝える事ができなかったので、事実を簡潔に伝えた。
「何!?陛下が?ここにか?」
父上は驚きながら僕に聞き返してきた。
「はい。街の外の岩場で盗賊に襲われていましたので、助けた所、ここへ向かっていると言ってましたので馬車でご一緒してここまで案内しました。」
「何!?盗賊に襲われた!?お前は無事なの・・・まあ大丈夫そうだな。わかったすぐに出迎える」
父上はそう言って急ぎ玄関に走って行った。
ちょうど玄関を開けると先ほどの豪華な馬車がきていた。
馬車から王様が下りてきて
「アレン久しぶりじゃな」
「陛下、久しぶりでございます。お元気そうで何よりです。」
「アレン、ここは公式の場所ではない。もっと気軽に頼む。」
「わかったよ。マテウス。久しぶりだな。」
父上と王様が仲良く話している。
するとセリーヌ様も
「アレン様初めまして。セリーヌと申します。」
「セリーヌちゃんも初めてだな。まあ家に上がってくれ。サラも読んでくるから。」
と父様がいいリビングでみんな集まった。
ちなみにアーサー兄とミリア姉は王都の高等学校に行っているので辺境伯領にはいない
王様と父上と母上が楽しく話しているので僕とセリーヌ様は話を聞いていた。
すると、
「クリフ、父さん達はこのまま大人で話すから、セリーヌちゃんと部屋で遊んできたらいいよ。」
と爆弾発言をした。
「えっ。」僕は固まった。
だが、セリーヌ様は
「はい。クリフ様行きましょう。」と僕の手を取って席を立った。
2人で僕の部屋に入ってお互いにまずは自己紹介をした。
「あらためて僕はクリフ・ボールドです。辺境伯家の次男で8歳です。兄と姉がいるんですが二人は11歳なので王都の高等学校に行ってます。」
かわいい女の子と2人きりで話す経験がそんなにない僕は当たり障りのない所から攻めて見た。
「私は、セリーヌ・サリマンです。クリフ様と同じ8歳ですわ。私も兄と姉がいるんですが、同じようにどちらも今は高等学校に通っています。今回お父様に無理を言って連れてきてもらったんです。王都から出たことがなくて外の街に興味がありましたから。」
その後もセリーヌ様は色々話してくれたが、緊張していた僕は、内容もあまり覚えていないし、「うん。」とか「そうなんだ。」みたいなそっけない返事ばかりしていた。
(異世界ハーレムって難しいな。こんな感じじゃセリーヌ様にも幻滅されたかも。でも緊張で何を話したらいいかわからないんだよな~)
ぎこちない会話が続いたり、沈黙が続いたりと時間がとても長く感じたが、母上が呼びにきてくれて二人の時間は終了を迎えた。
(とりあえず助かった。このまま続けてたらマイナスポイントが増え続けてたからな。これからちゃんと挽回しないと)
ハーレムは築きたいがその道は遠く険しい事を現実問題として知ったクリフは落ち込んだとともに、今後女性とのコミュニケーションを本気でがんばろうと思った。
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