スモールラビットを倒した僕はローマン先生指導の下、スモールラビットを解体していた。
「クリフ君、森で火魔法を使うのは駄目だとスノーが言っていたが、素材が燃えてしまうって理由で火魔法を使わない魔法使いも多くいる。素材は冒険者にとってはとても重要だ。クリフ君は貴族だから関係ないかもしれないが、俺たち冒険者はギルドの依頼で仕事を受け、魔物を討伐するときは素材をはぎ取り、それを売って収入も得ている。」
「先生、家は兄が継ぐので、僕は将来は冒険者になろうと思ってます。だから解体は教えてほしかった事です。」
そう、辺境伯はアーサー兄様がつぐので、僕は元々冒険者になろうと思っていた。
「なるほどな。まず魔物によって素材が売れるモノと売れないモノがある。スモールラビットの場合は皮と肉と魔石だ。肉は食用として重宝されているから、肉が素材の場合は鮮度が悪くならないように血抜きをする。」
僕は先生の指導の下、スモールラビットを解体していった。
「皮は防具になったり、衣類になったりと万能に使えるので、うまくナイフを使ってはいでいく。片手剣では難しいからナイフか短剣でするのがいいだろう。」
前世でウサギ。というか動物をさばいた経験が無いので、手探りで先生の言う通りに解体していった。
(今回はスモールラビット、ウサギだったから討伐も解体もましだな。人型のゴブリンとか僕は討伐できるのかな。ましてや解体とかってちょっと無理っぽいよな~)
前世で人を殺す経験も人を解剖する経験もない僕は、前世の記憶がある分、こちらの世界の常識にうまくなじむ為に気を引き締めた。
「よし。解体はこんな感じだろう。これは後で俺たちがギルドに売りに行ってくるぜ。クリフ君はまだ冒険者登録できないからな。」
そう。この世界は11歳にならないと冒険者登録はできない。つまり基本学校を卒業した時にはじめて冒険者としてデビューできるのだ。もちろん魔物を討伐して素材を売却する事は冒険者登録をしていなくてもできるのだが、普通の子供はしない。なぜなら魔物とは、それほどに危険だからだ。
「よし、まだまだ時間はあるから。この調子で今日は魔物を何体か狩っていこう。クリフ君は大丈夫かな。もし疲れたなら言ってくれよ。やりすぎるのもよくないし、今日は初めてなんだから慎重にいかないといけないからな。」
「先生。ありがとうございます。でも大丈夫です。僕は今日はレベルアップしたいと思っていたので、レベルアップするまでは魔物狩りを続けたいです。」
僕は早くレベルを上げたかったので、魔物狩りをまだまだ続けたいと先生に要望を伝えた。
「レベル~。たしかに魔物を討伐すればレベルは上がるが、そんなに簡単にレベルは上がらないぞ。アーサー君やミリアちゃんも1カ月程かかった気がするぞ。」
「そんなにかかるんですか!?」
(たしか、アーサー兄様とミリア姉様とは基本学校がない週末に訓練とか狩りとかしてたよな。1カ月って事は8回ぐらいの討伐でようやくレベルアップか~。)
すぐにレベルが上がると思っていた僕はちょっと気分が落ち込んだ。
「でもより多く魔物を狩れば早くレベルは上がりますよね?」
「ああそれは間違いないが、焦って行動するのはミスの元だからな。レベルを上げる為にがむしゃらに動くとミスが起きる気がするから、今日は10体までと決めようか。」
ローマン先生は焦って失敗しないように、討伐数を決めた。
「はい。わかりました。すいません。レベルを気にして焦ってしまいました。」
「まあクリフ君の気持ちもわかるよ。ただ、そうやって命を落とした冒険者も少なくない。今は俺たちが教師として付いているから安心だが、普通はAランク冒険者が初心者につくことなんてないから。命を大事にして行動するのは冒険者じゃなくても基本の事だよ。
「そうですね。わかりました」
(たしかに『命を大事に』って重要だよな。ゲームでは基本『ガンガンいこうぜ』だったからな~。まあでもゲームでは死んでもリセットできるし、リセットできない現実なら『命を大事に』が基本なのはその通りだな)
前世のゲームと同じようにいかない事を改めて理解したクリフは先生と一緒に慎重に魔物を狩って行った。
そして、ちょうど10体目の魔物のゴブリンを倒したところで、
(ちゃらららっちゃらーん)と頭にレベルアップっぽい効果音がなった。
「えっ!?」
僕は音が鳴った事に驚いて声を上げた。
「どうしたクリフ君?」
「いやなんか音が鳴った気がして・・・」
僕は伝えて良いかわからなかったので、ごまかしながら伝えた。
「お~。ならレベルアップしたんじゃないか。レベルが上がるとわかるようになってるからな。」
ローマン先生がそう言って教えてくれた。
(なるほど、この世界はレベルが上がるとわかるようになってるんだな。これはRPGのゲームぽいな。)
「あとでステータスを確認してみな。レベルが上がる事で能力が上がるのとスキルとかを授かる事もあるからな。」
「はい。ありがとうございます。先生」
僕はレベルが上がった事にテンションが高くなって、大声で御礼を伝えた。
「じゃあまあ今日はこの辺りにしておこうか。時間は夕方になる前ぐらいだからちょうどいいしな。」
ローマン先生にそう言われ、今日の初めての魔物討伐は終わりを迎えた
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