あれから、ローマン先生と剣術の打ち合いをしながら、スノー先生とは魔法書の勉強と魔法の打ち合いを続けて、今日は先生2人と魔の森に来ていた。
そうなのだ。あれから1年間、2人の授業を受けながら、毎回毎回「魔の森に行きたい」と連呼し、先日ようやく先生からの許可が下りた。一人でこっそりと魔の森にいこうかとも思ったが、
ローマン先生とスノー先生から「やる事をやればちゃんと魔の森へは連れて行ってやるから絶対に1人では行かないように。行ったのがわかったら今後一切授業はしない。」と言われていたので自重した。
(ようやく魔の森にくる事ができたな。1年間の指導は長かったけど、剣術もかなりつかえるようになったし、魔法のレベルも上がった。はっきりいって自分でもチートだと思うしな。)
クリフは1年間の訓練を思い出しステータスを表示した。
「ステータスオープン」
【名 前】 クリフ・ボールド
【年 齢】 6歳
【種 族】 人族
【身 分】 辺境伯家次男
【性 別】 男
【属 性】 火・水・風・土(光・闇・時・空間)
【加 護】 創造神の加護・魔法神の加護・剣神の加護・武神の加護
【称 号】 (転生者)
【レベル】 1
【H P】 3000
【M P】 5000
【体 力】 300
【筋 力】 150
【敏 捷】 150
【知 力】 800
【魔 力】 4000
【スキル】 (鑑定・アイテムボックス・全魔法適正・隠蔽)
火魔法LV5・水魔法LV5・風魔法LV5・土魔法LV5
(光魔法LV6・闇魔法LV1・時魔法LV1・空間魔法LV1)
無詠唱・身体強化
気配察知・片手剣LV6・短剣LV4・消費MP半減
複合魔法・剣術S
もはやレベル1のステータスではないと思う。ましてや6歳のステータスではないだろう。
(ちょっとがんばりすぎたかな・・・能力値は他の人には見えないから大丈夫だとしてもローマン先生とスノー先生にはある程度バレてるよな。剣術でもけっこう打ち合えるようになったし、魔法の打ち合いでは時々スノー先生に勝ったりしたからな。)
適正が高く、創造神様の加護があるクリフは教えられた事をメキメキと吸収し急スピードで成長していた。能力値がAランク冒険者と比べてもの足りないのはレベルが1の為だ。ちなみにレベルアップ時の能力値の上昇は初期値に連動する。
つまり、レベルを上げる前に能力値を上げておくと、レベルが上がった時の能力値の上がり幅が大きいのだ。
現時点でチートをすでに自覚したクリフであるが、今後チートっぷりは加速するようになる。
(チートはうれしいけど、自由がないのはつらいから自重は意識して、でも自重しろよって周りから言われるのもテンプレだから体験してみたいし・・・難しいな。)
色々考えながら歩いていると
「クリフ君、考え事してないで集中しなさい。ここは魔物が出るのよ。あなたが神童でも油断してると死ぬわよ。」
スノー先生に考え事をしながら歩いている事を注意され
「すいません。気を付けます。」
そう言って、気を引き締めた。
「まあ魔の森に入っても浅い所ではそんなに強い魔物は出ないから大丈夫だとは思うがな。魔の森はどんな事が起こるかわからないから注意は必要だぞ」
とローマン先生がフォローしてくれた。
「はい。わかりました。ちなみにこの辺りはどんな魔物が出るんですか?」
僕は確認の為、先生に聞いてみた。
「そうだな。今日は全然遭遇しなかったが、魔の森に行くまでの草原にスライムやスモールラビットがいて、魔の森の浅い所にもスライムやスモールラビットはいる。あとはスモールボアとかゴブリンがいるぐらいだな。」
(おおー聞いたことある名前だ。スライムやゴブリンはゲームでおなじみモンスターだし。ラビットは兎だろ。ボアはイノシシだよな。)
魔物の話を聞いていたら、
「おっあっちの方角に何やらいるな。この感じはスモールラビットだな。ほかには何も感じないから、クリフ君の初戦闘には持って来いだな。」
とローマン先生がスモールラビットを見付けたようだ。
「先生。何も見えませんがどうしているってわかるんですか?」
多分気配察知のスキルだろうけど、鑑定でローマン先生のスキルを見た事は内緒なので、わからない体で聞いてみる。
「ああ、俺は気配察知ていうスキルを持っていてな。周辺の気配がわかるんだ。まあスキル持ってなくても冒険者ならある程度、周辺の気配がわかるようにはなるんだがな。」
「僕も気配察知のスキルを持ってますが、全然わかりませんでした。」
僕の気配察知スキルは全然仕事をしてくれなかった。
「それは、経験が足りないからだな。まあまだスモールラビットまでの距離は遠いから練習してみるか。クリフ君。目をつぶって自分を中心に意識を周りに広げて見るんだ。」
「はい。」
僕は先生の言葉通りに目をつぶり、意識を周りに向けて見た。するとぼんやりと違和感がある箇所が1か所あった。
「何か違和感がある感じはするか?」
「はい。あっての方角に小さな違和感があります。」
ぼんやりと小さな赤いもやみたいなモノを感じる事ができた。
「それが気配察知だ。慣れてくると移動しながらでもできるし、数も魔物の種類もわかるようになる。これは経験して慣れていくしかないな。」
気配察知を試していると、スモールラビットが姿を現した。
「やっぱりスモールラビットだったな。まずは魔法から試してみるか。」
「森の中だと火魔法は危ないからそれ以外の魔法で倒してみて」
先生にそう言われ、僕は水魔法を選択した。
「はい。ウォーターボール。」
僕は拳大の大きさに調整したウォーターボールをスモールラビットに向けて放った。
魔法が当たったスモールラビットは「きゃん!!」と声を出し、魔法に吹き飛ばされ、木にぶつかった。
「よし、うまく当てれたな。」
ローマン先生はそういい、スモールラビットに駆け寄って行った。
僕はスモールラビットを倒したがあまりのあっけなさに、あまり実感がわかなかった。だが、異世界にきて初めて魔物を討伐した。
僕の異世界冒険記が本格的に進みだした・・・気がした。
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