クリフは隣にグランとグランの頭の上に乗っているスイムとともに学校に向かった。学校に到着すると、すれ違う人すれ違う人がクリフに目線を向ける。それはそうだろう。クリフがこの学校で知名度が高い有名人とともに、その横には赤い長髪の美人が並んで歩いているのだから。しかも学校の制服を着ていない。グランは冒険者用の身軽な服装だった。
「マスターよ。皆がこっちを見ておるぞ。」
「そりゃそうだろ。ここは学校なんだから。グランを見て誰だろう?って思ってるんだろ?しかも僕はこの学校の首席だからけっこう皆に知られてるんだよ。」
「なんと!?マスターは有名人なんだな。さすがマスターじゃ。」
周りがヒソヒソと話しているのはクリフにも聞こえてきた。
「ねぇ~クリフ君の隣にいる人誰かしら?」
「すごい美人じゃねぇ~。クリフの彼女か?」
「クリフ君ってセリーヌ様と付き合ってるんじゃなかったの?」
「制服着てないから学校の生徒じゃないよな?」
「クリフ君結婚して!」
(は~。やっぱり連れてくるんじゃなかった。絶対目立ってるし変な噂がたつよな~・・・)
クリフはグランを連れてきたことを後悔したが、すでに遅かった。クリフはグランとスイムとともにSクラスの教室に入った。Sクラスの教室に入ると入るまでざわざわしていたのにクリフを見るといきなりシーンとなった。
(あ~。思ってた通りの反応だよ。ここでもテンプレかよ!?でセリーヌに詰められるんだろ??知ってるよ。テンプレだもんな。)
クリフは自分の席に行く。グランとスイムもクリフについていった。席に着くとさっそくセリーヌが話しかけてきた。周りのクラスメイトはその様子を遠巻きから眺めている。
「クリフ様おはようございます。その方はどちら様ですか?」
「我か?我はマスターの従魔のグランだ。」
「従魔!?」
話がややこしくなったら困るのでグランを制してクリフはセリーヌに話しかけた。
「おはようセリーヌ。そうなんだ。前に言っただろ?召喚魔法を試すって。その時に現れたのがグランなんだよ。あとスイムは知ってるだろ?どうしても学校が見たいっていうから連れてきたんだよ。」
クリフは何事もないように普通にセリーヌに説明した。
「そう・・・・従魔・・・・でも・・・女性・・・・美人・・・・」
そこに空気を読まないフレイが口をはさんできた。
「師匠~。そのきれいな人は誰ですか?師匠の彼女さんですか?」
「か・の・じ・ょ・・・??」
(バカ!?フレイ!!それは行ったらダメなヤツだろ!!!」
「違うよ。今セリーヌにも言ってたんだけど僕の従魔のグランっていうんだ。今は人化してるけどスライムなんだ。」
「美人の彼女・・・」
セリーヌはどこかに行ってしまったかのように放心状態になっていた。
「セリーヌ?大丈夫?元に戻ってよ。」
クリフはセリーヌに声を掛ける。
(は~。やっぱりグランを連れてくるんじゃなかった。)
「はっ!?私は何を。たしかクリフ様に挨拶したら・・・隣に美人の女性が・・・あっ!?あなたは誰ですか?」
(ループかよ!!??)
このままでは話が進まないからグランには人化を解いてもらってポケットに入ってもらった。もちろんスイムも。グランが消えた後、クリフはセリーヌやクラスメイトに再度グランの事を説明した。必死に説明したのでセリーヌ達もわかってくれた。
学校が終わり、セリーヌに魔族の件について進捗を確認してみるクリフ。
「セリーヌ。調査の方は順調に行ってるかな?」
「あの件ですね。とりあえず冒険者に依頼をかけて、王都の周りを探ってもらっているみたいですわ。まだ報告が上がってきてませんので冒険者からの報告がきたらクリフ様にもお伝えしますね。」
クリフがセリーヌと話していると、学校が終わった事に気づいたグランが再び姿を現した。
「マスター。学校は終わったんだろ?早く不動産屋に行って物件を探しに行こうぜ?」
「不動産屋?物件?クリフ様どういう事ですの?」
(タイミング悪いな~。これもテンプレならしょうがないか・・・)
「いや。あの。今僕って学生寮に住んでるだろ?グランとかは今みたいにポケットに入ってもらってるんだけどそれじゃ過ごしづらいから別に家を借りようかな~って。」
「クリフ様とグランさんが一つ屋根の下で!?・・・私も不動産屋についていきます!!」
「えっ!?ついてくるの?」
「はい。当然です。そうと決まればさっそくいきましょう。」
(クリフ様について行ってグランさんにはちゃんと念を押しておかないと。)
クリフはグラン、スイムにセリーヌとお付きのユウリとマークと一緒に不動産屋へ向かって行った。冒険者ギルドに行っておススメの不動産屋を聞こうと思っていたが、ユウリが不動産屋の事を知っていたのでユウリについていくことにした。
「さすがユウリ。不動産屋自体もどこにあるかわからなかったんだよね。」
「セリーヌ様のお付きとして当然です。」
(良い物件があればいいな~。それにしても背中からの圧がすごい。)
クリフの後ろではセリーヌとグランが仲良くおしゃべりしていた。だが仲良くというよりはお互いの言葉にトゲがあり、クリフは何か起きるんじゃないかと気が気でなかった。
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