召喚魔法を使って現れたのは別の異世界の災厄と呼ばれるグラトニースライムだった。見た目は小さな赤いスライムだが人化すると赤い長髪のスレンダー美人へと姿を変える。
グランを従魔に加えたクリフはグランと訓練していた。
「マスターはなかなか強いな。さすが我を呼び出しただけはある。」
グランはそういいながらクリフの攻撃をヒョイヒョイっと躱していく。
「くそっ!全然当たらない。魔法も全部、手で防がれるし・・・」
「まだまだじゃな。身体がまだ子供というのもあるが、全然なっておらんぞマスター。我が鍛えてやるからもっと向かってこい。」
デュランダルを出してグランに切りかかるが、グランは片手でデュランダルを受け止める。
「この剣はなかなか強いぞ。マスターの魔法か?」
グランは左手でクリフの剣を受け止め、右手でクリフの腹を殴る。殴られたクリフは盛大に吹っ飛んだ。吹っ飛ばされたクリフは自分に回復魔法を掛けて立ち上がるが身体中傷だらけだった。
(グラン強すぎだろ!?もう1週間はずっとこんな感じで訓練してるけど倒せる気が一切しないぞ。)
グランを従魔にした翌日からグランの提案でクリフはグランを師事して訓練を行っていた。基本は対人戦だが1週間前と比べてクリフもだいぶ戦えるようになったと思っていたがグランには全然通用しなかった。
グランを従魔にしたクリフは魔族に関しては王様の調査を待つことにして自分のレベルアップを優先していた。更にスイムがグランに人化を教わる形でスイムのレベルアップを図っていた。グランが言うにはもう少しでスイムは人化ができるらしい。
「ちょっと休憩するかマスター」
グランがそういい、休憩する事になった。
「グランめっちゃ強いね。グランがいた異世界はグランみたいな人がゴロゴロいるの?」
「我のいた所か?そうだな~。我クラスになるとなかなかおらんな。だがマスターも良い線いくと思うぞ。我クラスになるには10年はかかると思うがな。それよりもずっと鍛錬してて良いのか?魔族が攻めてくるんじゃろ?」
「攻めてくるとは思うけど、王様にまわりの調査を依頼してるからね。まだ何も言ってこないって事はまだ何も起きてないんだと思う。それよりも魔族が魔物を引き連れてきたときに僕が何もできないのはいやだからね。少しでも鍛えておかないと。」
「さすがマスターじゃ。1週間前と比べても能力が上がっているのがわかるし、スイムももうすぐ人化できるだろうな。」
「ああスイムの事は助かったよ。相棒だったんだけど直接しゃべれないから、早く人化を覚えないかな~って思ってたんだよ。」
「人化は特殊じゃからな。レベルを上げるだけではなかなか覚えられんよ。スイムは知力の数値が高い。そもそも知力の数値が高くて才能がないと人化はできないからの~」
グランとの訓練を終えて学生寮に戻るクリフ。寮の人にグランがバレない様にスイムと同じようにグランには部屋に入るまではクリフのポケットに入るようにしていた。
部屋に戻るとグランはすぐに人化する。
「マスターよ。ポケットに入るのはさすがにもう疲れたぞ。どこか広い所に引っ越さないのか?」
(だよな~。スイムも人化できたらさすがに隠しきれないよな。)
「そうだよな~。引っ越しも考えないとな。いつグランの存在がバレるかわからないしな。」
今の所、冒険者ギルドはグランの存在を知っている。従魔登録するか冒険者登録するか迷ったが、グランが「我はマスターの従魔じゃ。」と言ったので従魔登録していた。ただ、人化した姿でギルドに入ると視線がすごかった。グランは気にしていないようだったが、周りがグランの事をガン見するのだ。声をかけてくる者もいたが、そういった輩はグランが適当に倒していた。
「従魔登録してるんだから、わざわざポケットに隠れなくてもよかろう。学校というのも興味がある。ずっと部屋にいてるのも退屈じゃ。明日はマスターについていくぞ。」
「まじで!?いやそれは・・・」
「なぜじゃ?別によいじゃろ?」
(まあ困る事は・・・あるか。絶対セリーヌとかに糾弾されるよな。でも早めに存在を紹介しておかないと隠せば隠すほどヤバい事にはなりそうだしな・・・)
「わかったよ。明日は人化のままで大丈夫だ。家も明日早速探しにいこう。けっこう冒険者で稼いでるから、そんなに大きな家は無理でも一軒家とか借りる事ができると思う。」
「本当か!?やった。スイムも人化してマスターについていこう。よしスイム!部屋の中で特訓するぞ。もう人化できてもおかしくないからな。」
クリフはグランとの特訓で1週間ではあるが、かなり強くなっていた。魔族がきても対応できるほどに。更に最強の従魔グランもいる。王国の調査状況も確認しておかないと考えながらクリフは明日からの予定を立てていた。
「じゃあ、明日は学校行って、セリーヌに調査の件を確認するのと、不動産屋に行って物件を探すとするか。」
「訓練はどうするんじゃ?」
「時間があったらしたいけど・・・」
(グランは容赦ないんだよな~。いつも僕がボロボロになるまでするし。それを絶対楽しんでるよな。)
クリフはグランの特訓が明日もあるのか。とため息をついて今日は眠りについた。
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