翌日学校では、クリフが噂になっていた。噂の内容はワイバーンをクリフが倒した事だった。
学校に着くとタフマンが寄ってきた。
「クリフ君。ワイバーンを倒したんだって?すごいね。」
「タフマンおはよう。なんで知ってるの?」
「噂になってるよ。」
「噂?」
クリフは周りを見渡すと一緒にワイバーンを討伐したソロンがまわりのクラスメイトに昨日の事を話しているのを見かけた。
「多分半人はフレイだな。」
「なんでフレイさんが知ってるの?」
「ああ、ギルドの依頼だったんだけど、フレイとフィルと一緒に行ったんだよ。」
「へぇ~そうなんだ。僕もワイバーン見たかったな。」
クリフはフレイの傍に行って注意しようとしたが、火に油を注ぎかねないと思い静かに自分の席に行くことにした。席に着くと
「クリフ様おはようございます。昨日は大変でしたね。」
「セリーヌおはよう。そうだね。昨日はちょっと疲れたよ。」
「あれから王城はバタバタでしたよ。今日も昨日の対策で一日バタバタしてますし、しばらくは大変です。」
セリーヌが小声で色々教えてくれた。
(そりゃそうだよな~。魔族なんて今まで話題に上がった事もないんだから王城は対応と対策に追われるわな~。まあ王様達には対策をがんばってもらうけど僕もがんばらないとな。)
そんな事を話しながら、学校が終わるとクリフはすぐに図書館へ向かった。図書館で召喚魔法について詳しく調べる為だ。
(召喚魔法に必要なのは魔法陣と魔力に詠唱か~。まあ思ってた通りだよな~。家にある本とこの本では魔法陣が微妙に違う気がするから魔法陣の形で出てくるモノが違うんだろうか~。そもそも魔法陣と魔力があれば発動するなら召喚魔法ってすごく簡単なんじゃ??)
そんな疑問を持ちながら召喚魔法について調べていくといくつかわかった事があった。
召喚魔法を使う為には魔法陣と大量の魔力と詠唱がいる。
魔力を流したからと言って召喚魔法が発動するとは限らない。
召喚魔法が発動したとしても召喚されるとは限らない。
召喚されるのは悪魔や天使、精霊や魔物など様々いるが希望の種族が現れるとは限らない。
召喚魔法が成功しても術者に従うとは限らない。
悪魔を召喚した人が召喚した直後に悪魔に殺されたケースがある。
(なるほどな~。簡単にできるようで、やってみると危ないんだな。悪魔を呼んで殺されるとか洒落にならないもんな。召喚魔法があまり使われてないのはこの辺が原因っぽいな。僕が使っても大丈夫だろうか??悪魔とか出たら対応できるかな?魔力を注ぐときに聖属性の魔力とか込めたら悪い種族は出てこないとかってテンプレもあるし、媒体を使って召喚したらそれに属したモノが現れるとかって異世界モノならあるけどそういうのはないのかな・・・)
クリフは召喚魔法について、色々な書物を調べながらどうするか決めた。
(よし!やっぱり召喚魔法を使おう。魔法陣はこれをうつして、魔力は一応聖属性を込めよう。何かあったら危ないから誰もいないところで試すとして、目標はドラゴンだな。人化できるドラゴン娘が理想だけど・・・これは魔力を注ぎながらイメージするしかないな。今日はもう遅くなったし、明日学校が終わったら王都の外に出て試してみよう。)
翌日、学校を終えたクリフはさっそく王都の外に出て誰もいない荒野に向かった。
「よし。ここならだれもいないし大丈夫だな。まずは小さな魔法陣で試してみよう。」
クリフは小さめに魔法陣を書いて、少しだけ魔力を込めた。そして詠唱を行った。すると魔法陣の中心にはゴブリンが現れた。
「おお~。ゴブリン出よって念じたらゴブリンが現れたぞ。これって僕の言う事聞くのかな??」
召喚されたゴブリンはクリフに向かってきた。
「あれ~?向かってきたぞ・・・失敗したかな?しょうがない倒すか。」
クリフはゴブリンに向かって火魔法を放ってゴブリンを瞬殺した。
「何がいけなかったんだろう??」
クリフは思い通りにゴブリンを召喚できたが、いきなり襲ってきたことに対して失敗したと思って原因を考えた。
「あっそうか!?失敗じゃないんだ!!そりゃそうか・・・ゴブリンを殺したのがいけなかったんだな。向こうは僕の力を見たくて襲ってきたのかも。なるほどそう考えれば納得だな。ドラゴンが召喚されたとして僕の実力を見せて、従ってもらうようにしたらいいんだな。」
クリフは1人納得していたが、予想は8割方当たっていた。召喚されたモノは基本的に術者に好意的だが、それと従うのは別の話だ。術者の実力を確認して納得したら契約してくれるのだ。だがそれは知能の高いモノだけだった。ゴブリンは知能が低いのでただ単にクリフに襲い掛かっただけだった。
「よしじゃあ本番と行こうか。まずはドラゴンが現れてもいいように大きめの魔法陣を書いてっと。」
描いた魔法陣よりも大きいモノは召喚できないので、ドラゴンが現れてもいいようにかなり大きな魔法陣をクリフは描いた。
「よしじゃあ魔力を込めるか。聖属性に変換して。ドラゴン来い。ドラゴン来い。ドラゴン来い。ドラゴン来い。ドラゴン来い。ドラゴン来い。」
クリフは魔力を込めながら、そしてドラゴン召喚を思って詠唱した。
すると大きな召喚魔法陣が光り輝き、光がおさまったかと思うと召喚魔法陣の真ん中に魔物が召喚された。
「成功だ!?けど・・・・・赤いスライム!!??」
召喚は成功したが、現れた魔物は大きな魔法陣いっぱいのドラゴンではなく、ちいさなちいさな赤い色したスライムだった。
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