第84話 【武】の序列戦 マッシュ対ドラン
Sクラスの【武】の序列戦が始まり、1番手はクリフ対タフマンだった。結果はクリフの勝利でクリフは2回戦へコマを進めた。
闘技場では次の対戦が始まろうとしていた。マッシュ対ドランだ。
マッシュは伯爵家の長男で赤髪のイケメンだ。性格よし。顔よし。実力ありの主人公みたいな男だ。対するドランは平民で土魔法を主に使う。土魔法でゴーレムを作って自在に操る。
「まあマッシュが勝つだろうな~。あいつかなり強いからな。」
「でもドランさんはゴーレム使いですよね。ゴーレムと二人がかりならマッシュさんも危ういんじゃ??」
「そうだね。もしドランがゴーレムと一緒に戦えるんならマッシュも危ないかもね。ただ、ドランはゴーレムを召喚したらゴーレムに戦闘させて、ドラン自身はそんなに強くないからね。僕だったらゴーレム召喚して一緒に戦うけど、一緒に戦えないし、ゴーレムも魔法を使わず肉弾戦だろうから、マッシュの方が圧倒的に有利だと思うよ。」
クリフがセリーヌ、ジャンヌ、アリス、シェリーとともに観戦していると丁度ドランがゴーレムを召喚していた。召喚といっても土魔法で作るのだが・・・・現れたのはドランの3倍程高さのあるゴーレムだった。
「ゴーレムおっきいね。」
「ああゴーレムにも色々種類があるからね。大きいゴーレムとか小さくてすばやいゴーレムとか。作るときの魔力の込め方で変わるんだ。ドランはゴーレムを作るのは慣れてるだろうから僕が作ったゴーレムと戦ったら多分僕が負けると思う。」
「クリフ君でも負けるの?」
「ああ僕はあまり土魔法を使わないからね。土魔法を主に使ってるドランの方がゴーレムの扱いはうまいと思うよ。」
ゴーレムを作ったドランは、自身は遠くに離れてゴーレムをマッシュに向かわせた。
マッシュは術者のドランを狙わずにゴーレムと戦うようだ。
「マッシュ君はドラン君を狙わないんだね。」
「そうだね。あいつって紳士だからな。ゴーレム使いは術者を狙うのが通常だけどマッシュが普通にゴーレムと戦いたいんだろう。まあゴーレムと戦っても倒せる自信があるんだろうけど。」
ゴーレムの攻撃を時には躱し、時には剣で防ぐマッシュ。互角の勝負をしているように見えたが、マッシュの剣がゴーレムの腕を切り落とした。
「お~。さすがマッシュだな。あれじゃゴーレムはもう戦えないだろうな。」
ゴーレムの腕が切り落とされるとドランが降参した。マッシュが2回戦に勝ち進んだ。
「マッシュ君強かったね。」
「そうだな。さすがマッシュって感じだな。あいつと当たるのが楽しみだよ。」
「マッシュ様と戦っても必ずクリフ様が勝ちますわ。」
「ありがとうセリーヌ。もちろん負けるつもりはないよ。僕だって日々鍛錬してるからね。」
対戦が終わり、マッシュがこちらに向かってきた。
「マッシュ。おめでとう順調だね。」
「ああ当然だな。クリフと当たるまで負ける訳にはいかねぇからな。それにクリフ以外には負けたくないからな。」
「「マッシュ様おめでとうございます。」」
「「マッシュ君おめでとう。」」
クラスの女性からの声援が多かったマッシュは観客席に来ると女性陣からの歓声が多かった。さすがイケメンである。
マッシュが合流して次の対戦を待っていると、次の対戦者が闘技場に現れた。次の対戦はフレイとフィルである。
フレイは侯爵家の貴族で、北の魔女と呼ばれている。貴族っぽくなく綺麗というより可愛らしい印象だ。魔法研究会で一緒に魔法の研究をしだしてからクリフの事を師匠と呼んでいる。
対するフィルは精霊魔法を使うエルフの女性だ。
「クリフ君。師匠としてフレイさんはどうなの?」
アリスがクリフに問いかける。フレイは教室でもクリフの事を師匠と呼んでいるので
全員が知っている事である。
「ああフレイの火魔法は強力だよ。でもフィルの精霊魔法って正直あまり知らないんだよな~。マッシュはフィルについて知ってるか?」
「俺もあまり詳しくは知らないな。だが精霊魔法だろ?自然の力を利用する魔法だと聞いたことはあるな。」
(フレイの事は良く知ってるけど、フィルの事は良く知らないな。フレイと魔法の話を教室で話しているとセリーヌが睨んでくるんだよな~・・・。ってそんな事は今はどうでもいいか。フレイの青い炎は強力だ。大抵の相手であればあの魔法を使えば勝てると思う。だが、フィルの精霊魔法が曲者だな。自然の力を利用する?)
「自然の力を利用するってどんな感じなんだ?火とか水とか使うのかな?水を使うならフレイとは相性が悪いな。」
「たしかにな。」
(風の精霊シルフとか水の精霊ウンディーネとか火の精霊イフリートとか土の精霊ノームとかを召喚して一緒に戦うんじゃないんだな。その辺りの精霊が力を貸してくれるって感じかな・・精霊魔法って精霊の力を借りる分、通常の魔法より強いイメージがあるんだよな~・・・フレイ頑張れ)
クリフは心の中で弟子であるフレイにエールを送った。始めは師匠師匠と言って来られる事が嫌だったが、真面目でかわいらしいフレイとの魔法の研究は楽しくクリフは師匠である事を受け入れていた。そんな弟子の初戦が始まろうとしていた。
コメント