第51話 よしダンジョンに行こう
高等学校への入学を主席で決めたクリフは学校が始まるまでを王都で過ごす事を決めていた。実家のボールド辺境伯へは馬車で1カ月かかるので物理的にも戻る事ができないからだ。
「よしダンジョンに行こう。」
クリフは朝起きてから、冒険者の恰好をしてスイムとともに冒険者ギルドへ向かった。ダンジョンの情報を聞くためだ。
冒険者ギルドに入ると、エリーさんの場所が開いていたので、真っすぐエリーさんの所へ向かった。
「エリーさんおはようございます。ダンジョンに行こうと思うのですが、ダンジョンの事を教えてくれますか?」
「クリフ君。おはよう。ダンジョンに挑戦するの?そう。わかったわ。じゃあ早速説明するわね。王都の近くには3つのダンジョンがあるの。一つはまだ踏破されていないダンジョンでランクはSね。次にBランクのダンジョンと最後がDランクのダンジョンよ。」
(まだ未踏破のダンジョンもあるのか。それは楽しみだな。まずはDランクダンジョンから挑戦かな。)
「そうなんですね。ならDランクのダンジョンからですかね。王国には3つしかダンジョンがないんですか?」
「王国には今は10か所ダンジョンがあるわよ。Sランクが1か所でAランクとBランクが3か所ずつあって、CランクとDランクのダンジョンは1か所ずつ。Eランクダンジョンが1か所ね。ダンジョンは最奥のダンジョンコアを破壊すると無くなっちゃうんだけど、冒険者の良い稼ぎになってるから、ダンジョン踏破してもコアは破壊せずにそのままにしてるの。たまにダンジョンが急に現れたりする事もあるんだけど、そういう場合はダンジョンコアを破壊する事もあるわ。」
(さすが王都だな。初心者用~上級者用までダンジョンがそろってるんだな。ダンジョンコアをゲットしてダンジョン運営ってテンプレだけどあんまりあれこれ手を出しても中途半端になるからここはDランクダンジョンを踏破してダンジョン攻略者の称号を得るのがいいかな。)
「けっこうたくさんあるんですね。わかりました。Dランクダンジョンに行ってみようと思います。Dランクダンジョンについて教えてくれますか。構造とか魔物の種類とか階層とか。あっ地図とかあるなら欲しいです。」
クリフはエリーにDランクダンジョンについて色々聞き、情報を集めて後、早速Dランクダンジョンに向かって行った。
王国にはダンジョンが10か所あり、
Eランクダンジョン・・・最奥地下10階
Dランクダンジョン・・・最奥地下30階
Cランクダンジョン・・・最奥地下40階
Bランクダンジョン・・・最奥地下50階~60階
Aランクダンジョン・・・最奥地下70階~80階
Sランクダンジョン・・・最奥地下??(現在攻略済み階層は地下83階)
となっている。
ダンジョンでは宝箱があり、武器やアイテムなどの商品がドロップする。
トラップやモンスターハウスなども存在し、ミスリルなど鉱石も取れる。
10階層事に中ボスが存在し、20階層事に地上と行き来できる転移魔方陣が用意されている。ダンジョンにいる魔物は倒すと魔石を残して消えてします。たまに素材やアイテムなどをドロップアイテムとして残す場合もある。
ダンジョン探索を主にしている冒険者は、
魔物の魔石、ドロップアイテムや宝箱、鉱石などを収入源としている。継続的に魔物が現れる環境なので冒険者にも人気の場所だ。
「ここがDランクのダンジョンか~。やっぱりダンジョンは人気だな。人がたくさんいる。あの人たちはみんなダンジョンに入っていくのかな?」
ダンジョンの周りには屋台が多く立ち並び、メンバー募集している人や自分を売り込んでいる人も多くいた。ポーターと呼ばれる人もたくさんいる。その光景を眺めながらダンジョンの入り口に向かうと、
「おい。お前1人でダンジョンに行くのか?」と呼び止められた。
(おっこれは、絡まれたのか?それとも一人は危ないぞって注意を受けたのか?)
「はい。ランクがDになったのでダンジョンに挑戦してみようと思いまして。」
「向上心があるのは良い事だが、ダンジョンは危険だ。一人じゃ危ないぞ。パーティを組んでから攻略した方が良い。俺たちと一緒に行ってみるか?」
声を掛けてきたのは、男性3人に女性1人のパーティだった。特に気負ってる雰囲気もなく、リラックスしている感じはダンジョンに慣れているパーティに見える。
(良い人だな。こんな子供の僕を誘ってくれるなんて。でも僕の能力ならDランクのダンジョンなら多分余裕なんだよな~。ついて行って無双するのもいいけど、スイムもいるしゆっくり一人で探索してみたいから今回は断るか。)
「ありがとうございます。でも大丈夫です。スイムもいるし今日は初めてダンジョンにきたので深く潜るつもりはないので。本格的に探索する時はパーティを組んで臨もうと思ってます。」
クリフはポケットから従魔のスイムを出し、ウソを交えて冒険者からの誘いを断った。
「そうか。まあ気をつけろよ。Dランクと行っても油断すると死ぬからな。」
そういって、冒険者パーティは先にダンジョンに進んでいった。
「スイム。僕達も行こうか。」
クリフとスイムはDランクダンジョンに入って行った。
第52話 Dランクダンジョンぐらいなら楽勝!?
高等学校入学まであと1カ月。その期間を利用してクリフはスイムとともにDランクダンジョンへ来ていた。
「よしスイム、このダンジョンは30階層まであるらしいから地図見ながらゆっくり進んで行こう。途中魔物が居たらスイムのレベル上げしながら行こう。多分僕はレベル上がらないと思うしね。」
「ピキッ」とスイムはクリフの先頭に立って前に進みだした。
ゴブリンやウルフ、コウモリなど魔物が出るとスイムが積極的に倒して行く。
ゴブリンの集落を壊滅させた時にスイムは大きくレベルを上げてゴブリンロードなみの能力になっている。なので、魔物が出てきてもスイムだけで楽々対処できている。
「スイム。順調だな。道も合ってるしもしかしてスイム道がわかるのか?」
「ピキ~?」
(わかってないのか。それか感なのか?まあ間違ってたら僕が指示したらいいだけだしスイムが余裕で魔物を倒してる間はこのまま付いていくか。)
スイムの後を追いながら、クリフは気配察知で魔物を動きを感じるとともに魔力を感じる事ができないか自分の魔力を薄く周囲に広げていた。
(こうやって魔力を薄く延ばすイメージで広げていけば、魔物の魔力とか、罠の魔力とか感じ取れないかな?ソナーみたいな感じで。)
元々、魔力操作は赤ちゃんの頃からやっていたのでクリフは魔力の扱いが得意だった。地下2階に降りる頃にはクリフは罠や魔物の魔力を感知できるようになっていた。
その後も地下10階まではスイムを先頭にひたすらスイムが魔物を倒す。罠はクリフが先に感知して回避する。途中にあった魔物部屋もスイムが乗り込んで行って瞬殺した。クリフはひたすら後に続いていくだけだった。
(Dランクのダンジョンじゃこんなもんなんかな。なんか歯ごたえが無さ過ぎて、全然おもしろくないな。魔物部屋もスイムが速攻で壊滅させたし、壊滅させた後に宝箱が出たから期待したけどポーション1本しか入ってなかったしな。ちょっと運動しないと僕もついていくだけじゃつまらないから中ボスは僕が倒そうかな。)
「スイム、10階層の中ボスは僕が倒してもいいかな?」
「ピッキー」
スイムはわかってくれたのか10階層の階段を下りる前に僕のポケットに入って行った。
10階層に降りていくと大きな扉があり、扉を開けると中ボスがいて、倒する下に降りられる仕組みになっている。
(なるほど、中ボスがいる10階層はボスとだけ闘う感じなんだな。)
階段を降りると部屋の中心に魔物が現れた。オークが5体だ。身体を動かしたかったクリフは剣を握ってオークに向かって行った。
もはやオーク程度ではクリフの相手にならない。クリフはオークの背後にまわって1体の首を切り落とすと、そのまま剣を横なぎにして2体目を倒す。その後、オークが棍棒を振り下ろしてきたが剣で防御するとオークがのけ反ったので喉を一突きし3体目。残る2体も動きが遅かったので胴体を切断、そのまま上から下へ振り下ろして5体のオークを倒した。
オークが消えると部屋の真ん中に宝箱が現れた。
「おっ宝箱が出たぞ。中ボスは宝箱を確定で落とすのかな??でも木箱か~。中身は期待できないな。罠は無いし早速開けて見よう。何がでるかな~」
オークの棍棒だった。
「なんだこれっ。いらね~。ていうかこの宝箱によくこんな棍棒が入るよな。どうなってるんだ??」
宝箱は木箱、銅箱、銀箱、金箱とあり中に入っているアイテムや武具のレアリティを表している。もちろん金箱が一番レアリティの高いモノが入っている。そして宝箱の中は異空間になっているので、宝箱より大きいモノも普通に入っている。
クリフがゲットしたのは先ほど戦ったオークが持っていた棍棒だった。不必要なモノだったからクリフは棍棒はその場において11階層へ降りて行った。
11階層から29階層まではクリフとスイムがお互い魔物を倒し、魔物部屋を見つけては突撃し、宝箱を見つけては開けてがっかりし、を繰り返した。1階層あたり1時間程で攻略していったので、最下層のボスにたどり着くまでに2日かかった。今はボス部屋に入る扉の前にいる。
「スイム。ここで最後だ。さくっと倒して戻ろう。とりあえずここをクリアすればDランクダンジョン攻略者だよね。」
30階層の扉を開けると、Dランクダンジョンのボスが現れた。ボスはゴブリンロードだった。
「又会ったな。ゴブリンロード。今日もサクッと倒させてもらうぞ。」
Dランクダンジョンのボスはランダムでゴブリンロードかオークジェネラルでレアボスがミノタウロスだ。
スイムが近づいて体当たりするとゴブリンロードは盛大に倒れた。クリフは倒れたゴブリンロードを一突きし、瞬殺した。瞬殺した瞬間ファンファーレが鳴った。
「おっレベルが上がったな。まあ雑魚敵でもここまで500体ぐらいは倒したからレベルが上がるのも当然だな。はじめはスイムのレベル上げとダンジョン攻略者の称号がもらえるかな~って気軽にきてみたけど、3レベルは上がったし来た価値はあったかな。」
部屋の中心に宝箱が現れた。
・・・木箱だった。
「また木箱かよ。Dランクダンジョンって木箱しか出ないのか!?全部木箱だったし。中身もしょぼかったから期待できないよな~」
中身は金貨1枚だった。
「まあオークの棍棒よりかはましだな。」
金貨をゲットしDランクダンジョンを攻略したクリフは最下層にある転移魔方陣に乗って外に出た。外はまだ昼ぐらいだったので、ゆっくりとギルドに向かって行った。
第53話 ようやく明日は入学式。準備はバッチリだ!!
Dランクダンジョンをクリアしてから1カ月が経過した。明日はいよいよ高等学校の入学式だ。
「ようやく明日は入学式だな。1カ月でステータスも上げたからどんな事があっても対処できるようになったとは思う。これでチート&ハーレムの道に進めるよな。魔王はまだ倒せるかわからないけど、今の段階ならベストだと思う。確認してみるか。スステータスオープン」
【名 前】 クリフ・ボールド
【年 齢】 11歳
【種 族】 人族
【身 分】 辺境伯家次男
【性 別】 男
【属 性】 全属性
【加 護】 創造神の加護・魔法神の加護・剣神の加護・武神の加護・
戦神の加護・愛情神の加護・
【称 号】 転生者・神童・大魔導士・Bランク冒険者
大賢者の再来・Bランクダンジョン攻略者
【レベル】 36 → 50
【H P】 38,000 → 60,000
【M P】 103,000 → 160,000
【体 力】 2800 → 6,000
【筋 力】 2600 → 6,000
【敏 捷】 2600 → 6,000
【知 力】 3600 → 6,000
【魔 力】 31,000 → 50,000
【スキル】 鑑定・アイテムボックス・全魔法適正・隠蔽・全武器適正
無詠唱・身体強化・気配察知・消費MP軽減・戦闘補正S
状態異常無効・転移魔法・創造魔法【NEW!】
全魔法LV10【NEW!】・全武器LV10
(レベルは50に上がって、だいぶ能力が上がったな。Aランク以上の能力はあると思う。魔法は全てを10レベルまであげたら統合して全魔法LV10にステータスが変わった。武器も様々な種類の武器を10まで上げたら全武器LV10になった。イメージしながら魔法を使ってたら創造魔法を覚えた。かなりチートになったと思う。)
【名 前】 スイム
【年 齢】 5歳
【種 族】 スライム族
【身 分】 スライム
【性 別】 女
【属 性】 水・空間
【加 護】 スライム神の加護
【称 号】 クリフの従魔
【レベル】 25 → 50
【H P】 250 → 1,000
【M P】 250 → 1,000
【体 力】 250 → 1,000
【筋 力】 250 → 1,000
【敏 捷】 250 → 1,000
【知 力】 250 → 1,000
【魔 力】 250 → 1,000
【スキル】 収納(アイテムボックス)・物理耐性・分裂・吸収
水魔法・擬態・暴食・変身
(スイムもかなりレベルが上がった。Bランク冒険者ぐらいはあるんじゃないだろうか?スキルも増えたしかなり頼れる相棒になったな。でも人型への進化みたいなのはまだできない。できるようになるんだろうか??スイムが人型にもなれるようになれば最高なんだけどな・・)
スイムは変身のスキルを覚えて、今まで取り込んだ魔物に姿を変えれるようになった。姿を変えればその魔物が持ってるスキルや魔法も一部使用する事ができる。最弱モンスターのスライムだったが、いまやスイムは最強モンスターへと変わりつつあった。
Dランクダンジョンを攻略してから、Bランクのダンジョンも攻略したクリフとスイム。Bランクダンジョンはさすがに敵も強かったので、一回で攻略できずレベルを上げて、何度も挑戦した。ゆっくり時間をかけてレベル上げをして、つい先Bランクダンジョンを攻略した。
(さすがにBランクのダンジョンはきつかったな。何度か死にかけたし、でも転移で逃げたりしながら挑戦できたのはよかったな。最後はちゃんと攻略できたしな。そのおかげで冒険者ランクもBランクになれたしな。あの時のギルドマスターとエリーさんはおかしかったな。目が飛び出る程驚いてたっけ。)
Bランクダンジョンはその名の通り、Bランクの冒険者がパーティを組んでようやく攻略できるレベルである。クリフはソロでしかもその時はまだDランク冒険者だった。冒険者ギルドのギルドマスターと副ギルドマスターが驚くのは当然だろう。
又、11歳でBランク冒険者になった者も過去にいなかった。
Bランクのダンジョンを攻略した時にクリフは冒険者ランクがBランクに上がっていた。Bランクといてば上位ランカーである。ギルドからの緊急依頼とか強制依頼はあるが、ランクが高いとやれる依頼も増えるのでメリットが大きい。
(転移先の登録もだいぶできたし、あとはステータスとかスキルや魔法をどの段階で公開するかだよな~。不意にバレるっていうのもテンプレだけど、何かあったときに実は僕は転移のスキルを持ってるんだ。って対応するのもテンプレだよな~。学園長にはスキルはバレてるからその辺は相談していかないといけないな~。)
(まあすでに目立ってるからその時その時対応していくしかないか。すでに色々バレてるから今更って感じもするけど、怖がられるのはいやだからその辺もうまくしていかないとな~。あ~こんな事ならもっと異世界ファンタジーの小説を読んで知識を深めておくんだったな~。)
誰しも異世界に行けると知っているなら、事前に勉強をしているだろうが、クリフは運よく異世界にきただけで、狙って異世界に来たわけではない。だが、そう思うのはしかたのない事だろう・・・
「まあ考えても仕方ない。寝るか」
明日から始まる学校に心躍らせてるクリフは明日遅刻しないように早めに眠る事にした。スイムを抱き枕にして・・・
第二章 完
次回第三章 高等学校編
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